純資産価額算定における営業権の評価①

財産評価基本通達に基づく取引相場のない株式の評価で純資産価額を算定する際に営業権の評価を行う必要がありますが、この営業権の評価は簡単なようで意外とミスの起こりやすい部分です。

営業権の評価を忘れないこと

まず、営業権の評価については、財産評価基本通達165、166に定められていますが、そもそもこの営業権の評価を取引相場のない株式の純資産価額の計算をする際に忘れないことが重要です。

決算書上、BS資産の部に営業権なんて計上されていないから評価不要なのではないか?と思いの方もいるかと思いますが、それは違います。

具体的には相続税法基本通達11の2-1の下記青字部分に記載がありますが、営業権は財産評価の対象となります。

ただし、実際に財産評価基本通達165、166に基づいて営業権の評価をしてみると、評価額ゼロとなるケースが私の経験上多いです。

非上場の中小企業でよほど高利益体質の会社でないと営業権の評価額が算出されないのが現実ですが、評価自体を忘れたのと評価した結果評価額がゼロだったのとは全然違いますので、評価漏れに注意です。

次回以降、営業権の評価の中身についての注意点を書いていこうと思います。

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相続税法基本通達11の2-1 法に規定する「財産」とは、金銭に見積ることができる経済的価値のあるすべてのものをいうのであるが、なお次に留意する。

  1. (1) 財産には、物権、債権及び無体財産権に限らず、信託受益権、電話加入権等が含まれること。
  2. (2) 財産には、法律上の根拠を有しないものであっても経済的価値が認められているもの、例えば、営業権のようなものが含まれること。
  3. (3) 質権、抵当権又は地役権(区分地上権に準ずる地役権を除く。)のように従たる権利は、主たる権利の価値を担保し、又は増加させるものであって、独立して財産を構成しないこと。

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財産評価基本通達165 営業権の価額は、次の算式によって計算した金額によって評価する。

平均利益金額×0.5-標準企業者報酬額-総資産価額 × 0.05 =超過利益金額
超過利益金額×営業権の持続年数(原則として、10年とする。)に応ずる基準年利率による複利年金現価率=営業権の価額

(注) 医師、弁護士等のようにその者の技術、手腕又は才能等を主とする事業に係る営業権で、その事業者の死亡と共に消滅するものは、評価しない。

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税務調査からみる内部書類の作成と保管の必要性

経理関係の書籍で出てくる言葉で「内部書類(内部資料)」と「外部書類(外部資料)」というものがありますので、すでこの言葉についてはご存知の方も多いかと思います。

内部書類と外部書類の範囲

内部書類の範囲のとらえ方については色々な見方があるかと思いますが、私はその会社内で作成される書類で例えば、株主総会議事録、取締役会議事録、その他各種会議体の議事録、社内稟議書、就業規則等の各種社内規定、賃金台帳などと広くとらえています。

一方で外部書類は、その会社と外部の第三者とでともに作成する資料や外部の第三者が作成する資料で例えば、契約書、支払の請求書・領収書、残高証明書などととらえています。

内部書類の作成と保存の必要性

税務調査があると必ず帳簿書類の作成元となった資料は確認されますので、内部書類と外部書類の提示が必要になってきます。

外部書類については外部の第三者がその作成に絡んでいますので、その内容の説得力も社内だけで作る内部書類よりも高いと言われています。

じゃあ、内部書類は作らなくてもよいかといわれればそれは違います。いくら内部書類の方が外部書類よりも説得力が劣るからといって作成しないのはよくないです。

税務調査で問われるのは過去の取引ですので、当時の取引状況についてなぜその取引を行ったのか等の経緯や目的を説明するのに口頭よりは稟議書などの内部書類があった方が説得力が高いものとなります。

つまり、税務調査において、内部書類が作成されていないという状況では口頭で過去の取引について説明することとなり、説得力ががくんと落ちてしまいます。あくまでも私個人の感覚ではありますが、税務調査における一般的な説得力の強弱は以下の通り、口頭説明が最も劣ると思います。

税務調査における一般的な説得力の強弱

外部書類 > 内部書類 >> 口頭説明

ですので、外部書類は当然に保管し、内部書類をしっかり作成して残しましょうというのが私の考えです。

おわりに

中小企業だとどうしても内部書類の作成、保管まで十分にできていないところが多いかと思いますが、できるところから少しずつ、経理部を中心に内部書類の作成をはじめてほしいと思います。その手間をかけておくことで後の税務調査で慌てなくて済みますから。