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相続により借地権が混同で消滅した場合の貸宅地の相続税評価額/大阪国税局資産評価官「資産課税関係 誤りやすい事例3-2(財産評価関係 令和2年)」(TAINS)

はじめに

相続税の土地評価で誤りやすい事例として「相続により借地権が混同で消滅した場合の貸宅地の評価」についてご紹介します。

この事例自体は、大阪国税局資産評価官「資産課税関係 誤りやすい事例3-2(財産評価関係 令和2年)」(TAINS)から抜粋したものになります。

誤りやすい事例

【誤った取り扱い】

長男乙は、被相続人である父甲の所有するA土地上に事業用建物を建て、適正な権利金及び地代を支払うことにより借地権を有していた。

甲の死亡により、乙は、甲が所有するA土地を相続したが、借地関係が消滅することから、A土地は自用地として評価した。

【正しい取り扱い】

借地権が混同で消滅したとしても、貸宅地として評価する。

乙がA土地を相続することにより、賃貸人と賃借人が同一人になることから、借地権は消滅することとなるが、これは、あくまでもA宅地を乙が相続した結果生じる法律的効果であり、乙が取得したのは借地権が設定されたA土地であるから、A土地の評価に当たっては貸宅地として評価することとなる(評基通25、民法179条)。

筆者コメント

この事例は読めば納得という税理士さんが多いかと思いますが、契約当事者である長男乙から次のような質問があったら税理士として的確に回答できますでしょうか?

長男乙からの質問「借地契約時に権利金を支払って借地権を取得したので、今回父甲から相続したA土地の評価額は、A土地の自用地評価額から当時支払った権利金を控除した金額ではないのか?」

あとこの事例では、借地契約時に権利金を支払っているケースですが、実際親子間での土地賃貸借では権利金の支払いなく通常の地代(公租公課倍率法で3倍程度)で賃貸借契約スタートしている場合の方が多いのではないかと思われます。そこで仮にこの事例で借地契約時に権利金を支払っておらず通常の地代(公租公課倍率法で3倍程度)で賃貸借契約をスタートしていた場合、今回父甲から相続したA土地の評価額はどうなるでしょうか?具体的には、長男乙から以下のような質問があったら税理士として的確に回答できますでしょうか?

長男乙の質問「自分は借地権取得の対価として権利金を支払っていないので借地権を取得した認識はなく、相続したA土地は自用地評価額で評価するのではないか?」

今回はあえて上記長男乙から質問の回答は伏せますが、借地権や底地(貸宅地)の評価1つとっても実に様々なパターンがあり、契約当事者の認識と我々専門家の認識のズレも大きいので、専門家としては単に評価通達に当てはめて評価して終わりではなく、契約当事者の疑問に的確に答えることが求められると思います。

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