不動産 相続税 贈与税

土地評価/閉鎖登記簿(旧土地台帳)や古地図からわかる減価要因の端緒

はじめに

今回は、不動産鑑定評価では普通に調査する閉鎖登記簿(ほかには旧土地台帳も含む)や古地図について、税理士目線も踏まえてご紹介しようと思います。

閉鎖登記簿や古地図を確認する目的

不動産鑑定士の先生からしたら、土地の評価にあたり閉鎖登記簿や古地図を確認するのは当たり前のことだと思いますが、税理士からすると「なんでそこまでするの?」って方も多いはずです。

税理士は土地の評価を行う際には、基本的に国税庁が公表している財産評価基本通達(以下、「評価通達」)を使いますが、この評価通達には閉鎖登記簿や古地図を確認することなどは書かれていません。同じく、評価通達には不動産の評価には欠かせない「役所調査」のことも全然書かれていません。

もっとも、閉鎖登記簿や古地図の確認や役所調査は、不動産の減価要因を把握するために行うものです(増価要因も含まれますが、総じて減価要因の方が多いかなと個人的には思います)。

例えば、税理士は不動産の評価のプロではないので、相続税や贈与税の業務に慣れていないのに受注してしまい、評価通達ベースの評価を行ったつもりが、閉鎖登記簿や古地図の確認や役所調査を失念し、そのせいで減価要因を見落とすリスクがあります。(もっとも、評価対象の土地が遠方にある場合等ではこうした調査をする場合に追加でクライアントに請求する報酬も増えますので、クライアントに内容を説明して合意の上でこうした調査を省略する場合もあります。)

閉鎖登記簿や古地図の入手方法

まず、閉鎖登記簿に関しては、その土地の所在地の法務局で入手可能です。郵送でも必要な書類や印紙を同封すれば取り寄せることが可能です。

古地図については、国立国会図書館やその土地の所在地の図書館で入手可能です。私の経験上、昭和30年代くらいまでの地図まで入手可能なところもあります。これは郵送で取り寄せることはできないので図書館に行くしかないです。

閉鎖登記簿や古地図からわかること

役所調査については詳しく書かれている本や不動産鑑定士の先生のWebサイトなどもありますが、閉鎖登記簿や古地図の調査に関しては私の感覚だとあまり見かけません。

具体的に、閉鎖登記簿や古地図を確認することでどんなことがわかるのか。以下、簡単にまとめました。

➀過去土地上に建っていた建物の種類から土壌汚染の端緒(可能性)が推察できる。

例えば、化学工場やガソリンスタンドの敷地であった履歴があれば土壌汚染の可能性を疑うことになります。土壌汚染に関して税務上は、路線価が地価公示の8割を目安に設定されていることと対応して、浄化・改善費用の見積額の8割相当を控除することになります。他にも、土壌汚染のある土地なんかほしくないという「心理的嫌悪感(スティグマ)」による減価もありますが、これは税理士では評価困難でしょう。

➁地質の状態を推察できる。

例えば、昔は水田として利用されていた地歴があれば、いま宅地でも地質は軟弱なのではないか?と疑うことになります。こうした、地質の状態まで考慮した評価通達の取扱いはありませんが、実際には「軟弱な地盤かもしれないのであまり買う気がしないな。。。」という「心理的嫌悪感(スティグマ)」による減価はあり得ます。

③地下埋設物の有無の端緒(可能性)が推察できる。

例えば、過去に土地の上に建っていた建物の種類によっては、基礎杭等が解体工事時に適切に除去されていない可能性もでてきます。ちなみに、埋蔵文化財については閉鎖登記簿や古地図を確認すること以外でも各自治体の教育委員会等へ周知の埋蔵文化財包蔵地に該当するかどうか等の確認をすることでその存在の可能性を確認できます。いずれにしてもこうした地下埋設物が見つかるとそれを除去するのにコストがかかるので減価要因となるわけですが、税務上は、埋蔵文化財が実際確実に存在することが明らかな場合に発掘調査費用の8割相当を控除することとした採決事例(平20.9.25、裁決事例集No.76 307頁)はありますが、基礎杭等の地下埋設物の取扱いまでは見当たりません。

以上➀➁③に記載の減価要因は、不動産鑑定評価では無視するわけにはいかないのですが、不動産鑑定士も土壌汚染や埋蔵文化財のプロとかではないので、できる調査にも限界があります。こうしたこともあり、一定の条件を満たせば評価上考慮しないこともできる旨が不動産鑑定評価基準に規定されています。

おわりに

結局、閉鎖登記簿や古地図を確認することで上記のような減価要因の可能性を探ることができますが、それが実際に存在するかどうかは役所調査で確認できるものもありますが、土壌汚染除去の専門業者等に依頼しないとわからないことも多いです。

税理士的には、あくまでも減価要因の端緒(可能性)だけなら把握しても無駄と思われるかもしれませんが、そうした可能性も含めて把握したうえでクライアントに説明して理解を深めてもらうことも大事だと個人的には思います。

 

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