固定資産担当者の皆さん、取得日と事業供用日の区別できてますか?

今回は、固定資産管理の入り口である固定資産取得時の処理の留意事項として「取得日と事業供用日」の区別について簡単に解説していきたいと思います。

取得日とは、文字通り、固定資産を取得した日のことであり、具体的には、引渡しを受けた日、納品日と言い換えられると思います。

そして、事業供用日とは、取得した固定資産を実際に事業の用に供した日、具体的には、会社で使い始めた日を言います。

取得資産を固定資産台帳に登録するタイミング

固定資産の管理(具体的には、固定資産台帳の管理など)を税理士事務所に丸投げしている場合はピンとこないかもしれませんが、自社で固定資産管理業務を担当されている方なら、まず、取得した固定資産を固定資産台帳に登録するという業務を必ず行っているはずです。

取得した固定資産を固定資産台帳に登録するタイミングは各社ごとに違うと思いますが、取得の都度逐一登録するというよりはむしろ、月次決算時に当月取得分をまとめて登録するという処理がオーソドックスな方法かと個人的には思います。

他には、半年分まとめて登録するとか、1年分をまとめて決算時に登録するという方法もあります。固定資産の取得自体が少ないとか、固定資産の金額的重要性が小さいという場合にはそれでもよいと思いますが、取得してから時が経過すると固定資産台帳に登録するのに必要な情報を収集するのに過去に遡らないといけないのであまりオススメはできません。

固定資産台帳に登録する情報の中でも、事業供用日は時が経過するといつから使いだしたか把握しにくい場合が多いので、できるだけタイムリーに把握しておく必要があります。

そのためにも、取得した資産を適時適切に固定資産台帳に登録する体制を整える必要があります。

取得日と事業供用日がズレる場合

だいたいどの固定資産管理ソフトでも取得日と事業供用日の入力箇所は分かれています(別々に入力します)。

取得してすぐに使いだすような固定資産の場合は、「取得日=事業共用日」となりますが、例えば、大型の機械の場合、納品してから据付作業や試運転を経て検収後にようやく事業供用なんてことはよくあります。こういった場合は取得日と事業供用日がズレてきます。

取得日と事業供用日がズレている場合に、その確認を怠り、「取得日=事業共用日」と固定資産台帳に登録してしまうと以下のような税務リスクが発生します。

税務リスク 具体例
減価償却費の過大計上 例えば、3月決算法人が取得日3月、事業供用日4月の固定資産を誤って取得日3月、事業供用日3月で登録した場合、減価償却開始は事業供用日からなので1か月分減価償却費が過大計上されてしまう。
特別償却(即時償却)や税額控除の適用時期誤り 例えば、3月決算法人が取得日3月、事業供用日4月の固定資産を誤って取得日3月、事業供用日3月で登録し、かつ、当期に特別償却の適用を行った場合、特別償却の適用要件の1つである事業供用日が翌期4月なので当期に特別償却の適用はなしとなってしまう。

上記具体例ではいずれも費用が過大なので、利益が過小、すなわち、法人税が過小ということになり、税務調査で指摘されると追加納付が必要となってきます。

取得日と事業供用日がズレていても同じ月内であればいいですが、事業供用日が翌月以降というふうに月が変わってくると上記のような問題が出てきます。

事業供用日の確認が大切

以上、取得日と事業供用日がズレている場合に、その確認を怠り、「取得日=事業共用日」と固定資産台帳に登録してしまうと税務リスクがあるということを説明しましたが、実務上、取得した固定資産全てについて事業供用日を確認するというのは非常に手間がかかると思います(経理だけでは確認できず、実際に固定資産を使う現場に確認しないといけないので)。

もちろん、取得した固定資産全てについて事業供用日を確認できる仕組み、体制ができている会社様はそれを維持していただければよいですが、事業供用日の把握が全くできていない会社様がいきなり全ての固定資産について事業供用日を把握するのはかなり大変な作業になると思います。

こういった場合にどうすればよいかですが、まずは、金額の大きな固定資産(金額基準は各社ごとに決める)や特別償却の適用を考えている固定資産など重要性の高いものから事業供用日を把握するところからはじめると良いのではないかと思います。

そして、事業供用日を把握した際には、何をもって確認したのか、その根拠を書類として保管しておきましょう。

例えば、機械装置であれば、試運転完了後に取り交わす検収書、はじめて使いだした時のログデータなどで日付が確認できますし、ソフトウェアであればインストール日をスクリーンショットで撮って印刷しておくなどが考えられます。

事業供用日の根拠書類があれば、税務調査でもきちんと説得力を持って説明が可能となります。

 

 

 

 

 

経理部の皆さん、固定資産の除売却・移動管理できてますか?

前回の投稿記事では固定資産の実地棚卸についてご紹介しました(経理部の皆さん、固定資産の実地棚卸やってますか?)。

今回は、固定資産管理実務の1つである除売却・移動管理についてご紹介します。

固定資産の除売却・移動管理とは

まず、固定資産の除売却・移動管理とはすなわち、現場従業員が固定資産を除却・売却・移動した際にタイムリーにその情報を固定資産台帳を管理している経理に伝達し、経理で固定資産台帳に登録及び会計仕訳への反映を行うことを意味します。

現場従業員から経理への情報伝達手段としては、電子メールをはじめとしたペーパーレスでの伝達体制でもいいですが、除却申請書、売却申請書といった書類を作成して回覧している会社様が多いイメージです。

除却を例に取れば以下のようなフローが一般的かと思います。

①除却申請書を作成(現場)

②除却の承認(現場責任者で済ませるものもあれば、金額的重要性が高ければ取締役会などで決議するものもある)

③除却を実施(現場)

④経理に除却完了報告(現場→経理)

④除却の台帳登録、会計処理(経理)

よく、①②がなされておらず、現場が何ら承認を得ずに勝手に除却してしまい、経理にはその結果だけ連絡が来るということもありますが、除却可否は現場の一従業員が単独で判断するのではなく、固定資産の重要性に応じて承認回覧を回す体制(①②)を構築するのが望ましいです。

固定資産の除売却・移動管理の必要性

ではなぜ固定資産の除売却・移動管理が必要なのかというと、以下のような問題をクリアするためです(他にもたくさん管理するメリットはありますが)。

問題 具体例
除却損、売却損の計上時期が遅れるリスク 固定資産の除却損、売却損はそれが実際に行われた事業年度でないと税務上損金になりません。除売却管理ができていない(現場から経理に情報伝達がなされていない)と除却損、売却損の計上するタイミング(事業年度)が遅れてしまいます。
従業員の横領リスク 例えば、現場従業員が固定資産を売却(換金)しており、それを自分で使ってしまっているような事態が起きている場合、除売却管理ができていないとこういった横領にも気が付くのが遅れます。

除売却・移動管理と実地棚卸を併せて実施すると効果的

固定資産の管理実務としては、今回ご紹介した①除売却・移動管理と前回紹介した②実地棚卸がありますが、これらはどちらか1つやればOKというものでもなく、可能であればどちらもやった方が効果的です。

すなわち、日々の固定資産の除売却・移動管理を通じて固定資産台帳をアップデートしつつ、そこで漏れているものがないか年に1,2回実地棚卸を行い確認を行うというふうに2つ行うことで固定資産の管理がより高いレベルでなされることになります。

どちらも経理だけでできるものではなく現場従業員と一体となってやる必要があるので、実施体制を整えるには現場も巻き込んで体制構築する必要があります。