はじめに
今回は、所得税の不動産所得の計算において、会計検査院から過去何度も指摘があるミス事例をご紹介います。
会計検査院から指摘が多いミス事例
ご紹介するミス事例はシンプルで、賃貸用不動産取得時に支払う仲介手数料を当該不動産の取得価額に算入していないミスです。
以下、会計検査院の指摘文を全文掲載します。
(イ) 不動産所得に関する事態
個人が不動産を貸し付けた場合には、その総収入金額から必要経費等を差し引いた金額を不動産所得として、他の各種所得と総合して課税することとなっている。そして、個人が貸付けの用に供する不動産を取得する際に支払った仲介手数料は、その取得した不動産の取得価額に含め、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入しないこととなっている。
この不動産所得に関して、徴収不足になっていた事態が4事項計4,886,900円あった。その主な内容は、貸付けの用に供した不動産の取得価額に含めなければならない仲介手数料を必要経費に算入しているのに、これを見過ごしたため、不動産所得の金額を過小のままとしていたものである。
出典:「平成28年度決算検査報告」(会計検査院)(https://report.jbaudit.go.jp/org/h28/2016-h28-0130-0.htm)
上記平成28年度以外にも、平成26年、平成23年、平成4年でも同様のミスが指摘されています。
なお、国税庁HPにも同様の内容の質疑応答事例があります。
国税庁HP質疑応答事例「賃貸用の土地建物を購入した際に支払った仲介手数料の取扱いについて」(https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/04/31.htm)
おわりに
今回ご紹介した仲介手数料以外に不動産の取得価額に算入する必要があるものとしては未経過固定資産税等清算金がありますね。こちらも国税庁HPに質疑応答事例があります。
国税庁HP質疑応答事例「賃貸用アパートを購入した際に支払った固定資産税及び都市計画税相当額の清算金の取扱いについて」(https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/04/29.htm)
税理士が関与してれば、おそらく指摘されているようなミスは起きないと思いますので、指摘の多くが税理士が関与していない方の申告かと推察されますが、こうした事例を教訓に1つ1つ正しい処理を積み重ねたいですね。