不動産 所得税 法人税

登記関連費用は不動産の取得価額に含める?含めない?(所得税と法人税の相違点)

はじめに

例えば、不動産賃貸業を営む個人事業主の方が、新たに賃貸用不動産(土地及び建物)などを取得した際には、登記関連費用として登録免許税といった税金を支払い、また、登記業務を司法書士に依頼している場合は司法書士に登記費用を支払うことが通常でしょう。

ここで、これら登記関連費用は所得税の不動産所得の計算上、取得した不動産の取得価額に含めるのか、それとも必要経費に算入するのかという論点があります。

今回は、この論点の答えとして所得税の取扱いについて説明するとともに、同種の取引で法人税法でも所得税と同じように取り扱うのかも併せてみていこうと思います。

所得税の取扱い

まず、所得税の取扱いについて、具体的には所得税法基本通達37-5、49-3に規定されています。

結論は不動産の取得価額に含めずに、必要経費に算入することとなります。

法人税法の取扱い

次に、法人税法の取扱いについて、具体的には法人税法基本通達7-3-3の2に規定されています。

結論は不動産の取得価額に算入することもできるし、算入しない(損金処理)することもできるというように経理処理の選択が認められています。

なぜ所得税と法人税で取扱いが異なるのか?

では、なぜ所得税と法人税で取扱いが異なるのでしょうか?

これについては、所得税法基本通達逐条解説の解説部分で言及されていますのでその部分を以下に掲載します(青字部分は私が加筆)。

なお、例えば、店舗や事務所などの不動産の所有権保存のため又は抵当権設定のために支出するような登録免許税は、業務上の維持管理上の費用に属するものであり、取得価額に算入する性質のものではないから、全額必要経費に算入することとなる。・・・途中略・・・

法人税の取扱いでは、登録免許税等の租税公課については企業経理に委ねることを前提として損金算入の選択を認めることとしている(法人税法基本通達7-3-3の2)が、個人の場合は、個人事業主における記帳の状況を踏まえ、画一的に取り扱うこととしているものである。

出典:三又修他「平成29年版 所得税法基本通達逐条解説」(大蔵財務協会,H29)530項

青字部分で言う、「個人事業主における記帳の状況を踏まえ」って具体的にどういうこと?って感じですよね。

これはあくまでも私見ですが、「個人事業主の場合法人に比べ、固定資産台帳で資産管理ができていないことが多いし、帳簿を長期間保管できていないことが多いでしょうから、不動産の取得価額に加えてその後しっかり取得価額のデータを持ち続けるというのが難しいので、画一的に取得価額に含めない」といいたいのではないかと思っています。

法人税の処理に慣れている方は間違いやすい論点なので注意が必要ですね。