印紙税 法人税

土地賃貸借契約書に貼る印紙はいくら?

土地賃貸借契約書と聞いて、印紙が必要とパッと思いつく方は多いと思います。

確かに、印紙税の別表第1課税物件表には、第1号の2文書「土地の賃借権の設定に関する契約書」がありますので、土地賃貸借契約書は課税文書にあたります。

土地賃貸借契約書に貼る印紙はいくら?

土地賃貸借契約書が課税文書に該当するのは上記の通り問題ないと思いますが、印紙をいくら分貼るべきか、すなわち、印紙税の納税額が問題となります。

印紙税の別表第1課税物件表をみると、第1号の2文書「土地の賃借権の設定に関する契約書」の印紙税額は、①契約金額の記載がある場合と②契約金額の記載がない場合で取扱いが分かれています。

ちなみに、契約金額の記載がある場合で、契約金額が1万円未満のものは非課税文書とされていますがここでは詳細は割愛します。 

そうすると、土地賃貸借契約書の契約金額があるかないか、ある場合はいくらかが問題となります。これに関しては、印紙税法基本通達第23条に以下のように定められています(赤字部分は筆者加筆)。

第23条 課税物件表の第1号、第2号及び第15号に規定する「契約金額」とは、次に掲げる文書の区分に応じ、それぞれ次に掲げる金額で、当該文書において契約の成立等に関し直接証明の目的となっているものをいう。

(2) 第1号の2文書  設定又は譲渡の対価たる金額
なお、「設定又は譲渡の対価たる金額」とは、賃貸料を除き、権利金その他名称のいかんを問わず、契約に際して相手方当事者に交付し、後日返還されることが予定されていない金額をいう。したがって、後日返還されることが予定されている保証金、敷金等は、契約金額には該当しない。

出典:印紙税法基本通達第23条より一部抜粋

土地賃貸借にあたり授受される金銭の分類ごとにまとめると、以下の通りになります。

土地賃貸借にあたり授受される金銭のうち代表的なもの第1号の2文書の契約金額に該当するか否か
権利金(借地権設定の対価たる性質の一時金であり、契約終了時に地主から返還されない)権利金全額が該当する
保証金(預り金的性格を有する一時金であり、契約終了時に地主から全額返還される)該当しない
保証金(預り金的性格を有する一時金ではあるが、一部償却され、契約終了時に地主から全額は返還されない)償却されて返還されない部分が該当する
地代該当しない
前払地代(定期借地権設定契約などで多くみられるもの)該当しない

 

注意なのが、地代は契約金額に該当しないというところです。

月額地代×契約月数=契約金額として印紙税額を判定しているミスをよく見かけます。契約書に地代しか記載されていなければ、契約金額のない場合に該当して印紙200円ですので、月額地代×契約月数=契約金額として印紙税額を判定していると印紙を貼りすぎている可能性が大です。

おわりに

権利金について少し踏み込むと、法人税の論点ですが、借地権利金の認定課税というものがあります。

仮に法人税の借地権利金の認定課税を受けていても、契約書自体にの権利金の記載がなければ、認定課税された借地権利金の金額は印紙税の契約金額にはあたらないと私は解しています(あくまでも私個人の見解です)。

いずれにしても、上記の通り、土地賃貸借契約書の契約金額を月額地代×契約月数で判定しているミスが非常に多いので、印紙税過大納付であれば、還付手続きをとるのもありでしょう。