はじめに
2019年12月末でこれまでずっとやってきたアメブロを閉鎖することにしていますが、アメブロでは会計税務関連書籍のブックレビューをたくさん書いてきました。
そこで、2019年12月末までにアメブロで書いてきた記事のうちブックレビュー記事を事務所HPの記事へ移行しています。
今回ブックレビューを書く『ソフトウェア取引の会計・税務Q&A(第2版)』についてもアメブロで書いたブックレビューを一部加筆して再度感想とともにご紹介したいと思います。
ブックレビュー
ソフトウェア業の上場企業で経理担当者であれば、ソフトウェア・研究開発費の会計処理や税務上の取り扱いについて両方をしっかり理解しておく必要があります。
また、ソフトウェア・研究開発費の論点は、税理士試験の財務諸表論や法人税法を受験する上でも必ず押さえなくてはいけない部分です。
特に、ソフトウェア・研究開発費の論点は、会計基準(研究開発費等に係る会計基準)をまずしっかり理解せずに法人税基本通達だけ読んでも全然ダメなので、会計と税務が両方解説されている書籍で勉強するのが良いと思います。
そこでオススメなのがこちらの本です。
有限責任監査法人トーマツ編『ソフトウェア取引の会計・税務Q&A(第2版) 』(中央経済社,2014年)
この本の特徴は、まずしっかりと会計基準の解説があり、そのあとに適宜税務の取扱いについても言及されており、会計だけ、税務だけということなく両方を学べる点が素晴らしいです。
内容もQA方式であり、少しずつ読み進めやすく、図解やイメージ図もけっこうある印象です。
開示やIFRSといった実務向けの部分を除けば300ページないので無理なく読了できると思います。
実務家向けの書籍だと思いますが、税理士試験の財務諸表論や法人税法の受験生でかつソフトウェア業のクライアントを担当されている税理士事務所職員の方などは試験勉強にもなり、実務にも生かせる良書だと思います。
ただし、1点注意なのが、少し古い本なので2018年(平成30年)3月公表の「収益認識に関する会計基準」が未反映です。
「収益認識に関する会計基準」の導入に伴い、実務対応報告第 17 号「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い」は廃止されることとなっています。
なので今後のことを踏まえれば、この本を読む際にはソフトウェア取引の収益認識に関する論点の記載は過去のものである点を意識して読む必要があると思います。