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試験上及び実務上ともに重要性の高い引当金は?

今回は引当金とはそもそも何か的な話は置いておいて、ある程度会計を勉強されている方や実務に携わっている方であれは、引当金については多少なりとも知っているでしょう。

引当金といってもいくつも種類がありますが、試験上も実務上も重要性が高いのはどの引当金でしょうか?

試験上及び実務上ともに重要性の高い引当金は?

試験上の重要性は過去問とかからの出題履歴を探れば明確な答えが出てくるでしょうが、実務上は業種業態が違えば計上されてくる引当金も異なるので一概にどの引当金が重要性が高いとは決められないでしょう。

でもあえて私見でいわせてもらえば、①退職給付引当金②工事損失引当金。この2つが試験上及び実務上ともに重要性が高い引当金ではないかと思います。

①退職給付引当金については、「退職給付に関する会計基準」でガッツリ規定されており、試験上も実務上も重要性が高いのは容易に理解できるでしょう。

実務上、退職給付引当金は金額的にも大きくなる場合が多く、金額的な重要性の観点からもその重要性が高いといえます。なお、「退職給付引当金」というのは個別財務諸表上での表示科目名であり、連結財務諸表上では「退職給付に係る負債」と表示されます。表示科目名が単に異なるだけでなく、未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用が加味されているか否かでも異なるのですが、ここではあまり深堀りしないでおきます。

会計基準の適用が強制されない中小企業では、退職給付引当金は損金算入されない(法人税の節税にならない)ため、計上されていない(オフバランス)ことが多いです。しかし、これが原因で将来発生する多額の従業員退職金の認識ができていない中小企業が多く、退職金の準備がしっかりできていないというケースが多いです。こうしたことにならないように、中小企業でも従業員別の退職金要支給額を試算し、積極的に退職給付引当金を計上すべきであると思います。

②工事損失引当金については、「工事契約に関する会計基準」の中で規定されています(以下抜粋)。

工事契約から損失が見込まれる場合の取扱い
19. 工事契約について、工事原価総額等(工事原価総額のほか、販売直接経費がある場合にはその見積額を含めた額)が工事収益総額を超過する可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、その超過すると見込まれる額(以下「工事損失」という。)のうち、当該工事契約に関して既に計上された損益の額を控除した残額を、工事損失が見込まれた期の損失として処理し、工事損失引当金を計上する。

出典:企業会計基準第 15 号 工事契約に関する会計基準 19項 

ただし、「工事契約に関する会計基準」は「収益認識に関する会計基準」が2021年4月1日以後強制適用となるに伴い廃止されます。よって、工事損失引当金も廃止かというとそれがそうではないんです。工事損失引当金の取扱いはそっくりそのまま、「収益認識に関する会計基準の適用指針」90項で生き残っています。試験的には、このように会計基準で個別で規定されている引当金なので重要性は高いと思います。

工事損失引当金は、建設業やソフトウエア開発業等を営む業種で、いわゆる赤字工事、赤字プロジェクトに対して計上される引当金ですが、退職給付引当金と同様に金額的に大きな額となることが多い印象です。よって金額的重要性も高く、こうした業種では実務上も重要性は高いといえます。

なお、工事損失引当金についても、退職給付引当金と同様、損金算入されない(法人税の節税にならない)ため、計上されていない(オフバランス)ことが多いです。しかし、これが原因で将来発生する多額の工事損失の認識ができていない中小企業が多いです。工事損失引当金を計上するには、工事別(プロジェクト別)に減価管理ができている必要がありますので、まずは原価管理をしっかりとできるようにした上で、赤字工事、赤字プロジェクトに対しては工事損失引当金の計上を検討すべきでしょう。

 

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