税務全般 経理実務

経費予算未消化と税務リスク

先の記事で売上予算達成に伴う売上先送りによる税務リスクについてご紹介しました。

売上予算達成と税務リスク:http://mikiyasuzeirishi.com/2019/04/05/zeimu-5/

今回は、経費予算未消化に伴う経費前倒しによる税務リスクについてご紹介します。

経費予算未消化と税務リスク

予算制度の導入は税務リスクが高まる可能性も秘めている点は先の記事でも書いたとおりですが、今回は経費予算未消化の場合の税務リスクです。

例えば、3月決算の会社で3月末を目前にして経費予算未消化の可能性が高い部門があったとします。そしてこの部門が「経費予算未消化だと翌期の経費予算を減らされてしまう。何とか経費予算を消化したい。4月分の経費につき支払先に打診して3月分の請求書として発行してもらい経費予算を消化したことにしよう」と思い、それを行ったとします。

この場合、本来は翌期4月分の経費が当期3月分の経費として計上されることになり、当期の経費過大となり、税務調査で発覚すると追徴課税されます。

なお、4月分の経費請求書を3月分に改ざんしている点について、役員等の関与が認められれば重加算税のペナルティもあります。

図:経費予算未消化に伴う経費前倒しによる税務リスクイメージ

税務調査において、このような経費前倒しは、請求書だけ3月になっていても納品書や検収書が4月だったり、担当者のメモやメールなどをきっかけに比較的容易に発覚することでしょう。

おわりに

予算を過度に意識し、予算に囚われすぎると何が正しいのかの判断ができなくなりがちです。

予算制度を導入している会社は上記のような税務リスクがあること十分に認識し、予算に囚われるあまり、一線を超えないよう役員はじめ従業員に十分に周知徹底する必要があるでしょう。