不動産の相続税評価額を試算する場面としては、以下①②のような場面がほとんどだと思います。
①不動産を所有する個人の相続税の申告要否の検討や相続税の試算をする場面
②不動産の生前贈与をする際の贈与税の申告要否の検討や贈与税の試算をする場面
このような場面で、税理士等の専門家に依頼せずに納税者様ご自身で不動産の概算評価を行う方も多いでしょう。
そこで、納税者様ご自身で不動産の概算評価を行う際に注意してほしいポイントとしてよく見かけるミスを基に代表的なものを以下にご紹介します。
土地の相続税評価額の試算
土地の相続税評価額の試算は主に以下の算式で行います。
倍率方式の場合:基準年度の固定資産税評価額×倍率
路線価方式の場合:土地の地積×路線価
①倍率方式か路線価方式かで算式が異なります。
試算する土地がどちらの算式で評価するのかを国税庁HP(路線価図・評価倍率表)で確認する必要があります。路線価方式なのに倍率方式で評価するミスなどに注意が必要です。
国税庁HP(路線価図・評価倍率表):http://www.rosenka.nta.go.jp/
②固定資産税評価額を使います。
倍率方式の場合、固定資産税評価額を使用しますが、固定資産課税標準額を使用するミスが多いです。どちらも毎年送られてくる固定資産税の課税明細書に記載されているのですが、固定資産税評価額と固定資産税課税標準額は似て非なるものです。字が似ているので選択誤りに注意が必要です。
③複数路線に接道している場合、最も高い路線価を使用しておく。
路線価方式の場合、路線価を使用します。もし試算する土地が複数路線に接している場合、ご自身の判断で最も低い路線価を選択して使用しないように注意が必要です。試算する際には最も高い路線価を使用しておきましょう。
建物の相続税評価額の試算
建物の相続税評価額の試算は、固定資産税評価額で行います。
そこで、土地の場合と同じように、誤って固定資産税課税標準額を使用しないように注意しましょう。
おわりに
以上、不動産の相続税評価額の試算上の注意点として代表的なものをいくつかご紹介しました。
単に試算といっても誤りやすい点が多いので注意が必要ですし、試算額が大きい場合には計算誤りによる税務リスクも高いので、相続後・贈与後ではなく試算の段階から税理士に依頼したほうが良いでしょう。