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土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価/財産評価基本通達の一部改正

平成30年12月10日付で、財産評価基本通達の一部改正により、「土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価(評基通20-6)」が新設されました。

国税庁HPリンク:平成30年12月10日付課評2-49ほか2課共同「財産評価基本通達の一部改正について」(法令解釈通達)

通達制定の趣旨

上記国税庁HPの資料の冒頭で通達制定の趣旨が書かれています。主な趣旨は以下2点になります。

①特別警戒区域内にある宅地は、建築物の構造規制が課せされ、減価要因となること

②近年、特別警戒区域の指定件数が増加しており、今後さらなる指定件数の増加が想定されること

②については、特に近年、日本各地でゲリラ豪雨等による土砂災害が頻発していることによるものであり、時代の流れを感じさせられる趣旨ですね。

通達適用上の留意点

新通達20-6については、計算方法自体は特段難しくないのですが、上記国税庁HPの資料を読む限り、留意しないといけない点がいくつかありますので以下にご紹介します。

①適用開始時期

まず、新通達20-6の適用開始時期ですが、平成 31 年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価に適用することとされています。

つまり、この記事を書いている現時点(平成31年1月9日)で既に適用開始してます。

②適用有無の確認

新通達20-6の適用対象となる宅地は、課税時期において、土砂災害特別警戒区域内にある宅地とされています。

土砂災害特別警戒区域の指定は公示により行われますが、課税時期において、指定の公示の有無を確認することが必要となります。

ネット上で各自治体のHP上に土砂災害特別警戒区域等の指定状況が評評されていますが、HP情報の更新は公示からタイムラグがありますので、HP情報だけでなく、しっかり役所調査を行い、確認することが必要でしょう。

③土砂災害警戒区域内の土地には新通達の適用なし

新通達20-6は、土砂災害特別警戒区域の場合に適用がありますが、土砂災害警戒区域の場合は適用がありませんので留意が必要です。

個人的には、土砂災害警戒区域(いわゆるイエローゾーン)にも適用あってもいいのではと思うところはありますが、適用のない理由として、国税庁HPの資料では以下のように解説されています。

土砂災害発生の危険性は警戒区域内外にわたり比較的広範囲に及んでいることから、土地価格の水準に既に織り込まれているとも考えられる。
したがって、警戒区域内にあるとしても、特別警戒区域内に存しない宅地については、「土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価」の適用対象としていない。

出典:国税庁HP「財産評価基本通達の一部改正について」通達のあらましについて(情報)別添資料

つまり、土砂災害警戒区域の減価はすでに路線価に織り込み済みという解説ですね。

④倍率地域の場合は適用なし

倍率地域に所在する土砂災害特別警戒区域内の宅地については、土砂災害特別警戒区域に存することによる減価はすでに固定資産税評価額に織り込み済なので、改めて新通達20-6を適用することはしないので留意が必要です。

⑤市街地農地等への適用可否

市街地農地、市街地周辺農地、市街地山林、市街地原野については、宅地比準方式で評価することとされているため、土砂災害特別警戒区域内にあれば、新通達20-6の適用ありと国税庁HP資料では解説されています(宅地比準方式で評価する雑種地も同様)。

おわりに

新通達20-6の適用にあたっては、もし評価対象地が土砂災害特別警戒区域内にあれば、依頼者からのヒアリング時に特別警戒区域内にあることは知ることができる可能性が高いですし、上記にも記載した通り各自治体HPで特別警戒区域の指定状況を確認すれば、ある程度確かな情報は得られます。

ですが、やはり最終的には役所調査を行い、確実に特別警戒区域に指定されている点を確認する必要があると思います。ますます役所調査の重要度が増したともいえるでしょう。

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