地籍規模の大きな宅地(新通達)と市街化調整区域

相続税の財産評価基本通達上、非常に大きな改正として、平成30年1月1日以降「地籍規模の大きな宅地」の新通達20-2の創設がありました。

この新通達の創設に伴い、これまで実務上いろいろ問題のあった、いわゆる広大地通達が廃止されました。問題があったというのは、適用できると非常に大きな減額効果のある広大地通達の適用可否判断が難しく、納税者と課税庁でもめることが多かったということです。

この点、新通達である「地籍規模の大きな宅地」は適用要件が広大地通達に比べて定量的になり、適用可否判断の難易度は下げられています。

広大地通達よりも使いやすくなったとは言っても要注意なポイントはいくつかあります。

市街化調整区域内の場合(原則)

この新通達の適用要件チェックシートが国税庁より公表されています((平成30年1月1日以降用)「地積規模の大きな宅地の評価」の適用要件チェックシート)。

このチェック項目の中に、都市計画に関する要件として、「評価対象となる宅地等は、市街化調整区域(注書省略)以外の地域に所在しますか。」という要件があります。

市街化調整区域というのは都市計画法において、市街化を抑制すべき区域とされておりますので、原則的には宅地分譲に係る開発行為ができない地域です。

新通達の趣旨については、国税庁公表の情報(「財産評価基本通達の一部改正について」通達等のあらましについて(情報))に記載がありますが、以下3点が挙げられています。

①戸建住宅用地としての分割分譲に伴う潰れ地の負担による減価

②戸建住宅用地としての分割分譲に伴う工事・整備費用等の負担による減価

③開発分譲業者の事業収益・事業リスク等の負担による減価

つまり、戸建住宅用地としての分割分譲が新通達適用の前提となっていますので、これが原則的にできない市街化調整区域内に存する宅地等は適用なしということになります。

市街化調整区域内の場合(例外)

市街化調整区域内の宅地等には、原則として新通達の適用がないですが、例外的に適用可能性がある場合があります。

例外は以下の2つの場合です。

①都市計画法第34条第10号に基づき宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域

②都市計画法第34条第11号に基づき宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域

この2つの例外の取扱いは、国税庁公表の適用要件チェックシート((平成30年1月1日以降用)「地積規模の大きな宅地の評価」の適用要件チェックシート)にも、注書きで記載されています。

市街化調整区域内では原則的には宅地分譲に係る開発行為はできませんが、都市計画法第34条第10号又は11号の規定に基づき宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域については、戸建住宅用地としての分割分譲が法的に可能であるため、他の要件を満たす場合にあは新通達の適用があるということになります。

この例外的取扱いで注意なのが、単に「都市計画法第34条第10号又は11号の区域内」というだけでなく、「宅地分譲に係る開発行為が可能」という要件もあるということです。

私がこれまでに各市町村のHPなどで確認した限りでは、都市計画法第34条第11条の条例指定区域自体はあるが、宅地分譲に係る開発行為はできないとされている市町村もありました。

市街化調整区域内 → 新通達の適用なし という早合点も禁物ですが(例外の取扱いを確認してない)、

市街化調整区域内 → 都市計画法第34条第11条の条例指定区域内 → 新通達適用可能あり(他の地籍要件等の確認は要) という早合点も禁物です(宅地分譲に係る開発行為の可否を確認していない)。

おわりに

以上、市街化調整区域内の宅地等に関する新通達の適用要件を見てきましたが、都市計画に関する内容は各自治体のHPで確認できるところもあれば窓口に行って(役所調査)確認しないといけない場合もあります。

役所調査に行く際には事前に新通達の適用要件はじめ調査する項目をしっかり机上調査で固めたうえで行きたいところですね。

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