印紙税

建物賃貸借契約書=不課税文書は少し危険

建物賃貸借契約書と聞いてすぐに印紙税はかからない、不課税文書と思い浮かべる方、結構いらっしゃるかと思います。

印紙税法の歴史を遡ると、平成元年4月改正時にそれまで課税物件表に記載されていた「賃貸借又は使用貸借に関する契約書」は課税廃止となり、以後不課税文書となってます。

なので、建物賃貸借契約書は不課税文書というのは正解は正解です。

ただし、実務上、建物賃貸借契約書=不課税文書と即断してしまうのは少し危険です。

印紙税法の課税文書かどうかの判断は、単に文書の名称によることなく、記載されている個々の内容によって判断していくこととされているから(印紙税法基本通達第3条)、建物賃貸借契約書という表題だけで判断せずに契約書の内容を1つ1つに見ていく必要があります。

一例として、以下国税庁タックスアンサーでは、建物賃貸者契約書でも第1号の3文書「消費貸借に関する契約書」に該当するケースが紹介されています。https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7106.htm

契約書で証明しようとする事項の主目的は建物賃貸借であったとしても、たった一文がきっかけで不課税文書が一変して課税文書になってしまいます。

これが印紙税の怖いところですね。

一般的に契約書にいろいろな場合を想定して様々な条項を入れるのは法務リスク回避という観点ではいいことなのでしょうが、印紙税の観点で見れば、記載される条項が増えれば増えるほど課税文書にヒットする可能性も増えるし、複数の課税文書に該当して帰属の決定の問題等の難易度も上がるので注意が必要となります。

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