駐車場使用契約書の印紙税の取扱いは難しい

印紙税の実務に携わる方であれば一度は検討したことがあるであろう論点として、「駐車場使用契約書の印紙税の取扱い」があります。これ単純なようで結構判断が難しいんです。

駐車場使用契約書の印紙税の取扱い~総論~

まずは、この論点に関する国税庁タックスアンサーがあります(No.7107 駐車場を借りたときの契約書)。これを基にまとめると以下の通りになります。

契約形態 印紙税の取扱い
駐車する場所としての土地を賃貸借する場合 第1号の2文書「土地の賃借権の設定に関する契約書」に該当して印紙税がかかる
車庫を賃貸借する場合 車庫という施設の賃貸借契約書ですから、印紙税はかからない(不課税文書)
駐車場の一定の場所に駐車することの契約の場合 駐車場という施設の賃貸借契約書ですから、印紙税はかからない(不課税文書)
車の寄託(保管)契約の場合 車という物品を預かる寄託契約書ですから、印紙税はかからない(不課税文書)

タックスアンサーでは契約形態として4パターン示されており、➀以外は不課税文書で印紙税はかからないということになります。

なお、➀は印紙がいくら必要かという税率判定をするのに記載金額を見ていかないといけません。ここは上記国税庁タックスアンサーの内容を転記させていただきます。

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土地の賃貸借契約書の記載金額は、目的物の使用収益のための対価(いわゆる地代)ではなく、貸借権の設定のための対価、すなわち権利金、名義変更料、更新料等後日返還されることが予定されていないものの金額をいいます。
したがって、例えば、土地賃借権契約書で、その契約書に記載されている金額が月額地代のみであるような場合には、記載金額のない第1号の2文書となります。

出典:国税庁HPタックスアンサー「No.7107 駐車場を借りたときの契約書」注書き

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赤字の部分、すなわち、地代は記載金額に含めないというところ勘違いしやすいので注意が必要です。

駐車場使用契約書の印紙税の取扱い~各論~

上記ではタックスアンサーの内容をまとめただけですので、ここではもう少し踏み込んでみようと思います。実務上は特に、実際の契約書が上記契約形態➀と③のどちらに該当するのかの判断が難しいんです。

そこで私なりにいつも契約書をどのような観点で見て契約形態➀か③かの判断をしているかというのを簡単にまとめたのが以下の表です(もちろん実務では個々の契約内容を見ないと印紙税の最終判断はできません。記載文言によっては1号以外の課税文書にヒットする可能性もあり得ます。ですので、あくまでも考え方の1つの参考としてお考え下さい)。

契約形態 契約書の特徴
駐車する場所としての土地を賃貸借する場合(印紙税がかかる
  • 契約書上の賃料(地代)の消費税が非課税とされている(貸付期間1月未満の場合は除く)
  • 「土地を駐車場として賃貸し・・・」という文言あり
  • 賃貸物件に「土地の表示」「地積」などが記載さ入れている
駐車場の一定の場所に駐車することの契約の場合(不課税文書
  • 契約書上の賃料の消費税が課税されている(駐車場付き住宅で一定要件を満たす場合除く)
  • 賃貸物件に駐車場の情報として区画番号などの記載がある

基本線として、一部例外はありますが、消費税の取扱いと印紙税の取扱いが整合しているかどうかはチェックされた方がいいと思います(上記青字部分)。

一番嫌なのが、しっかりとアスファルト舗装などされた駐車場なのに、契約書に何らかの不備・不足があり、契約書だけ見ただけでは印紙税のかかる契約形態➀とみられてしまう可能性があることです。契約書作成時に不備・不足を無くすように心がけるとともに、念押しするならば現場で駐車場の写真を撮って契約書の賃貸物件の補足として添付して、後々疑義が生じないようにしておく必要があるかと思います。

ちなみに、契約形態④は貸すというよりも保管してもらう契約なので判断つきやすいかなと思います。契約形態②も貸す側が車庫を所有しており、契約書にも賃貸物件として車庫が明記されていれば判断つきやすいのではないかと思います。

 

建物賃貸借契約書=不課税文書は少し危険

建物賃貸借契約書と聞いてすぐに印紙税はかからない、不課税文書と思い浮かべる方、結構いらっしゃるかと思います。

印紙税法の歴史を遡ると、平成元年4月改正時にそれまで課税物件表に記載されていた「賃貸借又は使用貸借に関する契約書」は課税廃止となり、以後不課税文書となってます。

なので、建物賃貸借契約書は不課税文書というのは正解は正解です。

ただし、実務上、建物賃貸借契約書=不課税文書と即断してしまうのは少し危険です。

印紙税法の課税文書かどうかの判断は、単に文書の名称によることなく、記載されている個々の内容によって判断していくこととされているから(印紙税法基本通達第3条)、建物賃貸借契約書という表題だけで判断せずに契約書の内容を1つ1つに見ていく必要があります。

一例として、以下国税庁タックスアンサーでは、建物賃貸者契約書でも第1号の3文書「消費貸借に関する契約書」に該当するケースが紹介されています。https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7106.htm

契約書で証明しようとする事項の主目的は建物賃貸借であったとしても、たった一文がきっかけで不課税文書が一変して課税文書になってしまいます。

これが印紙税の怖いところですね。

一般的に契約書にいろいろな場合を想定して様々な条項を入れるのは法務リスク回避という観点ではいいことなのでしょうが、印紙税の観点で見れば、記載される条項が増えれば増えるほど課税文書にヒットする可能性も増えるし、複数の課税文書に該当して帰属の決定の問題等の難易度も上がるので注意が必要となります。