上場企業であれば、四半期決算がありますし、それに向けて毎月の月次決算も相当精度が高く行われていることが多いですが、非上場の中小企業の場合どうしても月次決算がないがしろにされがちです。
もっとも中小企業の場合、経理の人材不足で月次決算をやってる余裕はないというのはわかるのですが、月次決算により経営陣に早期に財務状況の報告が可能となり、月次決算から得られる情報は経営陣の意思決定にはなくてはならないものです。
月次決算って何から始めればいいの?
月次決算をこれまでやってきていない会社でも、日々の取引の記帳をタイムリーに経理でしっかりやっているのであれば、もう一手間、二手間加えることで月次決算ができる状態にあります。
逆に日々の取引の記帳がタイムリーに行われていない場合(例えば2,3か月分の取引を後でまとめて記帳したりしている場合)、まずはそこから改善していかないといけません。
要は、
①日々の取引のタイムリーな記帳+➁月次決算特有の仕訳=月次決算
ということです。
月次決算特有の仕訳とは?
ここでは、上記算式の①日々の取引のタイムリーな記帳はクリアできていることを前提とし、➁月次決算特有の仕訳についてここではその代表例である費用の平準化をいくつかご紹介します。
費用の平準化 | 具体例 |
金額的重要性の高い年1回払い費用の平準化 | 例えば、年1回払いの生命保険料など、毎月支払うものではないが、支払額がかなり多額な費用について、支払時に全額費用計上するのではなく、毎月未払計上して費用の平準化する。 |
減価償却費の月次計上 | 減価償却費の計上について期末決算時に行っているのであれば、それを月次で行うように前倒しする。 前期ベースの年額償却費/12月で毎月計上する方法と当期予定ベースの年額償却費/12月で毎月計上する方法があるが、後者の方がよい。 |
引当金の計上 | 賞与や退職金を支払時に費用計上するのではなく、賞与引当金、退職給付引当金を計上して費用の平準化する。 ※引当金は税務上損金にならないケースが多いので法人税申告書別表4で調整要 |
費用の平準化→月次損益の平準化を行うことが目的です。
引当金の計上は少し難易度が高いですが、それ以外であればさほど難易度は高くないと思います。いきなり全部やろうとすると大変なので、少しずつできるところから始めていくのが良いと思います。