企業の会計税務に関わる仕事に携わる方として代表的なのは以下のような方々でしょう。
①公認会計士(監査法人)
②税理士(税理士事務所・法人の職員含む)
③税務調査官
④その企業の経理部員
①②③は企業外部の方々、④の企業内部の方々という分け方もできますが、現場(工場、店舗、営業所)を実際に見るかどうかで分けるとどうなるでしょうか。
①公認会計士は、四半期末や期末の棚卸資産の実査の場面で企業の主要な工場や店舗に必ず行き、実地棚卸の立会を行っていますので、現場を見てます。
②税理士(税理士事務所・法人の職員含む)は、私見ですが現場を見ていない方が多いと思います。もちろん、現場を見る税理士もいますが、様々な理由、事情からか経理部はじめ管理部門がある本店、本社にしか行かないという場合も多いでしょう。
③税務調査官は、100%とは言いませんが、私のこれまでの調査立会の経験上、現場を見せてほしいと依頼され、現場を見ることが多いです。
④企業の経理部員は、現場から経理に部署移動してきた方は現場を見てきていますが、入社してすぐ経理配属される方は、現場を見ていないことが多いでしょう。もちろん、新人経理部員のOJTとして、現場訪問を行っている企業もありあります。
ということで、あくまでも私のこれまでの経験上の話ではありますが、現場を見ていない確率が高いのは、②税理士(税理士事務所・法人の職員含む)と④企業の経理部員です。
現場(工場、店舗、営業所)を見ることの大切さ
②税理士(税理士事務所・法人の職員含む)と④企業の経理部員が現場を見ない理由は様々でしょうが、現場を見ることでしか気が付くことができないことがあります。
以下に、現場を見ることで得られる事実として代表的なもの簡単に列挙してみます。
- 不良在庫、滞留在庫等のいわゆるデットストックの存在に気が付く
- 遊休資産等の未稼働の固定資産の存在に気が付く
- 24時間操業の機械の存在に気が付く
- スクラップの存在に気が付く
- 棚卸資産の管理状況を概要を把握できる
- 固定資産の管理状況を概要を把握できる
- 小口現金の有無、管理状況を把握できる
- 現場従業員の作業時間の管理状況を把握できる
これらの事実は単に気が付いて終わりではなく、会計処理や税務処理に適切にその事実が反映されていなければならないものです。
つまり、会計処理や税務処理の精度を上げる、誤りを減らすには、現場を見るという作業が必要なわけです。
もちろん、非上場の中小企業の経理部員の方に毎日現場に行けといっても無理な話です。
税理士にしても、毎月訪問時に必ず現場を見るのは時間的に厳しいでしょうから、経理担当者と相談の上、一緒に現場を見に行くのが一石二鳥かと思います。
なお、税理士と経理部員の方が一緒に現場を見に行く際には、できればただ見るだけではなく、現場管理者(工場長、店長等)にインタビューしたり、質問できる機会があればなお良いでしょう。