株価評価

純資産価額の評価でB/S計上されてるものだけ評価するのは危険

財産評価基本通達ベースの株価評価では純資産価額の評価が必要となり、これが非常に手間がかかるわけですが、よくある誤りとして、貸借対照表(B/S)に計上されているものだけ評価して終わりにしてしまうということがあります。

B/S計上されていなくても評価が必要なもの

B/S計上されていなくても評価が必要な資産・負債はいくつもありますが、典型的なものを列挙すると以下の通りです。

別表5(1)の項目

法人税の別表5(1)には、税務調査で指摘されて修正申告した際の資産計上漏れ項目や、自主的に別表加算した資産計上漏れ項目などが計上されています。株価評価の純資産価額(帳簿価額欄)は基本的に会計ベースではなく、法人税ベースなので、別表5(1)に計上されている項目はしっかりチェックして評価する必要があるかどうか検討する必要があります。

例えば、会社の判断で電話加入権を全額減損損失として処理したが(B/S電話加入権は消える)、税務調査で資産計上漏れを指摘され、修正申告した場合、別表5(1)に電話加入権が計上されてますので評価する必要があるわけです。

全損保険

ちょうどこの記事を書いている今、国税庁が全損保険にメスを入れたので何かと話題になっていますね。文字通り全損ですのでB/Sに「保険積立金」とか「長期前払費用」とかの科目で資産計上されていません。

ですが、全損保険の多くは解約返戻金等がありますので、株価評価する時点での解約返戻金等の金額で評価する必要があります。

匿名組合出資金(通称:日本版オペリース)

こちらも全損保険と同様、いわゆる法人税の節税商品(課税の繰り延べ)です。ただし保険と違って出資額が数千万~億単位のケースもあり、節税額は保険を大幅に上回ります。高利益体質の中小企業では、やっているケースもあるでしょう。この匿名組合出資金はB/Sの「出資金」とかで資産計上されたのちに毎期損失分配額を「出資金」を減額してP/L計上する会計処理をしていると出資金元本を上回る損失が累計で配された時点でB/S計上額がゼロになります。出資金元本を上回る損失分配額部分は負債の部に計上されるので負債をみて気が付くケースもありますが、資産の部しか見ていないと漏れやすいです。

匿名組合出資金は株価評価する時点の評価額をリース会社に依頼して入手して評価に反映するのですが、全損保険と同様しっかり資料を取り寄せて評価に反映する必要があります。

営業権

会計上は「のれん」という科目でB/Sに資産計上されている場合もありますが、非上場の中小企業では計上されるケースは非常に限定的でしょう。こちらもB/S計上されていなくても評価が必要であり、過去にも記事にしました↓

http://mikiyasuzeirishi.com/2018/10/02/kabukahyoka-3/

http://mikiyasuzeirishi.com/2018/10/03/kabukahyoka-4/

営業権を財産評価基本通達に従って評価をしても評価額が算出されるケースは少ないですが、結果的に評価額ゼロとなるだけで、評価漏れはまずいです。

借地権

借地権設定時の権利金、借地権の取得時の対価を支払っていればB/Sに「借地権」として資産計上されているでしょうが、権利金を支払っていない場合は資産計上されていないケースがほとんどでしょう。なお、税務調査で借地権の認定課税を受けて別表5(1)に借地権が計上されている場合もありますが、それもなされていない場合はB/Sや別表5(1)だけみても借地権の存在には気づけません。ですので株価評価に当たっては土地賃貸借契約書でその存在を把握して評価を進めていくことになります。

なお、借地権も評価した結果、評価額がゼロとなることもありますが、評価漏れはまずいです。

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