一般的に決算書とか財務諸表という場合、代表的なものとしては、貸借対照表(通称B/S)と損益計算書(通称P/L)が挙げられますが、第三の財務諸表としてキャッシュ・フロー計算書(通称C/F計算書)というものがあります。
キャッシュ・フロー計算書とは
キャッシュ・フロー計算書とは、簡単に言えば、当期1年間の現預金の増減について、企業活動(①営業活動、②投資活動、③財務活動)別にその内訳を表示する計算書をいいます。
ちなにみ、キャッシュ・フロー計算書 = 資金繰表 ではありません。
そして、このキャッシュ・フロー計算書は、単に会計ソフトに仕訳を入力するだけでは作れません。
一方で、貸借対照表と損益計算書は会計ソフトに仕訳を入力すれば会計ソフトが自動的に作成してくれていますので、作成の手間はキャッシュ・フロー計算書に比べてかかりません。
そして、非上場の中小企業(上場企業の子会社などを除く)の場合、キャッシュ・フロー計算書を作ることが義務ではないので作っていないことが多いと思います。
法人税の確定申告書に添付するのも貸借対照表と損益計算書であり、キャッシュ・フロー計算書は添付の必要はありませんので。
中小企業がキャッシュ・フロー計算書を作る意味
では中小企業がキャッシュ・フロー計算書を作る意味はないのかというとそれは違います。
例えば、「今年は損益計算書の当期純利益がたくさんででたので儲かった」と思っていても倒産するケース(黒字倒産といいます)もあり、そうした予兆をキャッシュ・フロー計算書を作ることで把握することが可能となります。
他にもメリットはいくつかありますが、上記のように一般的にはキャッシュ・フロー計算書は作るのに手間がかかるのでその存在は知っていても作っていない会社が多いと思います。
キャッシュ・フロー計算書の簡易作成ツール(中小企業庁HPの活用)
キャッシュ・フロー計算書を作りたい場合、一つオススメなのが中小企業庁HPで公開されているキャッシュ・フロー計算書の簡易作成ツール(Excel)です。
中小企業庁HP「キャッシュ・フロー計算書の簡易作成ツール」:https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/kaikei/kaikei_tool.html
一点注意なのが、中小企業でも上場企業が適用しているような会計基準を適用している場合、上記簡易作成ツールではキャッシュ・フロー計算書が正確に作成されない場合があります。
ネーミング自体も「簡易作成」とある通りあくまでも簡便的にザックリ作るイメージのツールですので、その点を十分に理解した上で使う必要があります。
おわりに
私自身は上場企業の経理マン時代に実際にキャッシュ・フロー計算書をガチで作っていましたが、上場企業のキャッシュ・フロー計算書となると作成にそれなりに手間を要します。また、普通に有価証券報告書の一部を構成し、世間に公開されるものですのでミスれないという緊張感もあります。
一方で、非上場の中小企業では上場企業ほど会計処理も複雑ではないので、キャッシュ・フロー計算書の作成の基本的な部分を書籍などで学べば、経理マンの方でも作成は可能だと思います。
経理マンとしてのスキルアップの意味も込めて意欲のある方は是非キャッシュ・フロー計算書の作成にチャレンジしてほしいなと思います。