税理士試験の法人税法受験生あたりが「現物出資」と聞くと、適格か非適格かという論点がまず頭に浮かぶかと思います。
適格か非適格かというのは非常に重要なのですが、ここではあえて、現物出資と印紙税の関係をご紹介したいと思います。
現物出資引受書が課税文書となるケース
現物出資と印紙税の絡みでいうと、現物出資引受書が課税文書に該当するケースがあるので、そこを注意しないといけません。
現物出資引受書が課税文書になるかどうかは、出資の目的(財産)によって以下の通り異なります。
現物出資の目的(財産) | 印紙税の取扱い |
土地、建物の所有権 | 第1号の1文書(不動産の譲渡に関する契約書) |
車両、機械等の動産の所有権 | 不課税文書 |
以上のとおり、不動産の現物出資引受書は課税文書になります。
なお、現物出資引受書が第1号の1文書(不動産の譲渡に関する契約書)に該当した場合、契約金額がいくらかによって印紙税額が異なります。
この点、現物出資の場合の契約金額は、文書に記載されている出資金額によることとされています(印紙税法基本通達第23条⑴二)。
おわりに
私自身のこれまでの実務経験上、現物出資に直接絡んだことはないので、行われるケース自体は少ないのかもしれません。
ただ現物出資するとなったら、ある程度の金額の物、すなわち不動産がメインになってくるでしょうから、法人税の適格、非適格の論点などと併せて印紙税のこともケアできるとなおよいですね。