平成31年度税制改正大綱において、公益法人等又は協同組合等の貸倒引当金繰入限度額の割増特例の廃止が盛り込まれています。
そもそも割増特例とは
公益法人等や協同組合等の法人税の申告業務自体あまり経験されている方が多くないと思いますので、そもそも割増特例って何?という方も多いかと思います。
そこで、割増特例について、以下に、国税庁タックスアンサーNo.5501より一部抜粋します(赤字筆者)。
3 繰入限度額の割増しの特例(公益法人等又は協同組合等向けの特例)
公益法人等又は協同組合等については、平成29年4月1日から平成31年(2019年)3月31日までの間に開始する事業年度における一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額の計算を、上記1又は2のいずれの方法で行った場合であっても、繰入限度額を対象額の110%(注)に相当する金額とすることが認められています。
(注) 平成10年4月1日から平成24年3月31日までの間に開始する事業年度においては116%、平成24年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度においては112%とされています。
出典:国税庁タックスアンサーNo.5501
赤字部分の「上記1又は2のいずれの方法で行った場合であっても」とは、「貸倒実績率又は法定繰入率いずれで計算した場合であっても」ということです。
このように、公益法人等又は協同組合等の貸倒引当金繰入限度額は、通常の繰入限度額よりも10%割増されています。
割増特例廃止
上記特例について、今回の税制改正大綱において、以下のように廃止(経過措置あり)されることとなりました。
公益法人等又は協同組合等の貸倒引当金の特例は、適用期限の到来をもって廃止する。
なお、平成31年4月1日から平成35年3月31日までの間に開始する各事業年度における貸倒引当金の繰入限度額の計算については、現行法による割増率(10%)に対して1年ごとに5分の1ずつ縮小した率による割増しを認める経過措置を講ずる。
出典:平成31年度税制改正大綱 79項
雑感
割増特例の廃止の背景には、会計検査院による報告書「租税特別措置(中小企業等の貸倒引当金の特例)の適用状況及び検証状況について(平成30年11月30日)」があります。
これを読むと、ゆくゆくは、法定繰入率自体も見直されて今よりも減少するのではないかと想像できます。
いずれにしても税務上の貸倒引当金はどんどん縮小傾向にあるのは間違いないですね。