税務調査では必ずその会社の「商流」と「物流」がどうなっているかの説明が求められます。
「商流」と「物流」って聞くとなんだか少し難しく聞こえるかもしれませんが、「商流」は発注、納品、製造、販売といった取引の流れの中での各種書類、データの流れ、「物流」とは各商流の段階における物理的なモノの流れと考えれば少しはイメージがわくかと思います。
なぜ「商流」と「物流」が調査で問われるかといえば、限られた調査期間の最初に会社の全体像を俯瞰することで、税務上問題となりそうな部分をあぶりだすためでしょう。
会社の経理部はどうしても「商流」や「物流」といった会社全体の森を見ず、交際費がどうとか消費税コードがどうとかいった木に目が行きがちで、森から見ないとわからない潜在的な問題点が取り除けていないケースが多いです。
経理部に求められる俯瞰力
税務調査対策のためだけにという意味ではなく、やはり会社の経理部は会社全体の「商流」と「物流」をしっかり把握しておく必要があると思います。
ここが単に資格(例えば日商簿記1級)持ってても、経理ができるとはいえない理由の1つでしょう。
新人経理マン教育の1つとして、まずは会社の各部門をOJTで回らせて会社の全体像を把握させるというものがありますが、これは経理部に求められる俯瞰力を植え付けるためだと思います。
経理という仕事には、1つ1つの仕訳を丁寧に切るといった繊細さに加え、会社全体を俯瞰する俯瞰力が求められます。この俯瞰力の方は資格試験の勉強では補えない部分でどうしても実務経験がものをいいます。
商流と物流はバラバラに見ないこと
会社全体を俯瞰する、すなわち、商流と物流を把握するさいにこれらを別々に見ないことが重要です。
経理部ではどうしても商流(取引の過程で生じる書類やデータ)に目が行きがちで現場でのモノの流れに目が行きにくいです。
取引の各段階、製造工程の各段階でモノがどのように流れ、どこにあるのかが把握できていないと例えば、棚卸資産の計上漏れといった税務リスクを軽減することはできません。
おわりに
元経理マンの私も上記のような俯瞰力が十分に足りていなかったなと過去の自分に対する反省がありますが、そういった自身の反省も踏まえて、今税理士としてお客様の会社と接する際には、会社全体の商流と物流を把握するように心がけています。
商流と物流を図に落とし込んで眺めてみることでここおかしいな?という気付きが生まれます。