損益計算書原則のうち、前回は「経過勘定科目」について書きました。今回は「損益計算書の区分」について。
損益計算書の区分
損益計算原則の「損益計算書の区分」の部分を以下に引用します。
二 損益計算書の区分
損益計算書には、営業損益計算、経常損益計算及び純損益計算の区分を設けなければならない。
A 営業損益計算の区分は、当該企業の営業活動から生ずる費用及び収益を記載して、営業利益を計算する。 二つ以上の営業を目的とする企業にあっては、その費用及び収益を主要な営業別に区分して記載する。
B 経常損益計算の区分は、営業損益計算の結果を受けて、利息及び割引料、有価証券売却損益その他営業活動以外の原因から生ずる損益であって特別損益に属しないものを記載し、経常利益を計算する。
C 純損益計算の区分は、経常損益計算の結果を受けて、前期損益修正額、固定資産売却損益等の特別損益を記載し、当期純利益を計算する。
D 純損益計算の結果を受けて、前期繰越利益等を記載し、当期未処分利益を計算する。
出典:企業会計原則 損益計算書原則
まず、上記Dの部分については、現行の制度会計上の損益計算書では行われていないため暗記不要でしょう(古い規定として削除されずに残り続けているもの)。
その上で、上記の「損益計算書の区分」については、私はこれを全文暗記するというよりは、試験的には以下のような点に注意して読む程度で良いのではないかと思います。
✔ 損益計算書が、営業損益計算→経常損益計算→純損益計算の順で段階的に利益計算をしていること
✔ 各段階での利益(営業利益、経常利益、当期純利益)の持つ意味
営業利益:企業の本業による利益
経常利益:企業の経常的な収益力
当期純利益:企業の分配可能利益
ちなみに、利益には上記の利益以外に包括利益というものがありますが、包括利益は連結財務諸表のうち包括利益計算書で計算表示されるものであり、個別財務諸表や連結財務諸表の損益計算書では計算表示されません。包括利益について、詳しくは「包括利益の表示に関する会計基準」に規定されていますので、またこの基準について書く時に詳しく見ていこうと思います。
✔ 営業利益、経常利益、当期純利益 → 個別財務諸表、連結財務諸表の損益計算書で計算表示されるもの
✔ 包括利益 → 連結財務諸表の包括利益計算書で計算表示されるもの
おわりに
次回は、損益計算書原則については、まだ残っている論点について書き進めていこうと思います。
もし、個別で勉強相談等がありましたら以下サービスで承りますので是非ご検討ください。