印紙税

不動産の附属物と印紙税

不動産の譲渡契約書は、印紙税の課税文書(第1号の1文書)に該当し、契約金額に応じて印紙税が課税されます。

附属物の売買代金の取扱いは?

ここで、不動産とその附属物が一つの契約書に記載されており、附属物の売買代金が不動産の売買代金と区分表記されていれば、当該附属物の売買代金を印紙税額の判定における契約金額から除けるかが問題となります。

例)

土地建物の売買代金:50,000,000円

ルームエアコン(附属物)の売買代金:100,000円

契約金額50,000,000円として印税税額の判定OK?

それとも50,100,000円として印紙税額の判定をするの?

これに関して判断基準となるのが、印紙税法基本通達別表第1「第1号の1文書」2です。

不動産とその附属物の譲渡契約書で、当該不動産と当該附属物の価額をそれぞれ区分して記載しているものの記載金額の取扱いは、次による。

(1) 当該附属物が当該不動産に対して従物(民法第87条《主物及び従物》の規定によるものをいう。以下この項において同じ。)の関係にある場合は、区分されている金額の合計額を第1号の1文書(不動産の譲渡に関する契約書)の記載金額とする。

(2) 当該附属物が当該不動産に対して従物の関係にない場合は、当該不動産に係る金額のみを第1号の1文書(不動産の譲渡に関する契約書)の記載金額とし、当該附属物に係る金額は第1号の1文書の記載金額としない。

赤字の部分が判断の分かれ道になります。

すなわち、その附属物が、民法に定める従物に当たるか否かで取扱いが異なります。

附属物契約金額の取扱い
従物に当たる附属物の売買代金も含める
従物に当たらない附属物の売買代金は除く

従物とは?

そうすると、従物とは何かが問題となりますが、民法87条で以下のように定められています。

 第八十七条 物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする

2 従物は、主物の処分に従う。

つまり、従物とは、①主物と独立性を有し、②主物の利用を助けるために附属させられている物をいいます。
従物の具体例としては、以下の物が民法の本ではよく紹介されています。
建物の従物:畳、障子、物置、取外し可能なルームエアコン など
土地の従物:石灯篭 など
また、従物と紛らわしいものに付合物(民法第242条)もあります。
付合物とは、不動産の構成部分となって独立性を失っている物のことを意味します。付合物は不動産の構成部分ですので、その売買代金を不動産と区分して記載するという概念はないでしょう(例えば、建物のドアや窓)。

おわりに

そうすると、上記例で記載したルームエアコンなんて言うのはまさに従物に該当しますので、例え売買代金を不動産と区分して表記してもその金額も契約金額に含めて印紙税額の判定をすることになります。

印紙税の節税で、金額を区分して表記するといいと聞いたことがある方は多いかと思いますが、全てにそれがあてはまるとは限りません。上記のように、例え区分しても一体とされる場合もあります。