月次決算における法人税等の計上はどうする?

非上場の中小企業でも月次決算をしっかりやられている会社様も多いかと思いますが、月次決算で法人税等(法人税、地方法人税、住民税、事業税、地方法人特別税)の計上は行っていますでしょうか?

あくまでも私の感覚では、法人税等に関しては月次決算ではあえて計上していないという会社様が多いように思います。

月次決算で法人税等を計上しない理由

ではなぜ、月次決算で法人税等まで計上しないかといえば、それは以下のような理由からだと思います。

  • 法人株式等という勘定科目は、損益計算書の一番下の方(税引前当期純利益の下)に表示される科目であり、月次決算では営業利益、経常利益くらいまで把握できれば十分だから(重要性が小さいから)
  • 法人税等の金額は期末決算を待たなければ、正確に確定できないし、実際に計算するには申告書ベースで所得計算をしなければならず手間だから(月次決算のスピード重視)
  • 月次決算か否かに関わらず、法人税等を自社の経理では正確にに計算できない(経理レベルの問題)

上記のような理由に加え、非上場の中小企業(上場企業の連結子会社など除く)には上場企業が行わなければならない四半期決算がないので、自社外からの要請もないわけです。

月次決算で法人税等の計上は不要?

じゃあ、非上場の中小企業は月次決算で法人税等の計上は不要かといえばそれは少し言い過ぎかと思います。

例えば、期末に近づくにつれ、法人税等のキャッシュアウトが気になる経営者の方は少なからずおられるでしょうし、法人税等のキャッシュアウトを重要視している会社様であればその金額は月次でもある程度知りたいはずです。

月次決算での法人税等の計上はどうする?

では、非上場の中小企業の月次決算で法人税等の計上をどのようにするかですが、以下のような方法が考えられます。

  • 顧問税理士に協力いただいて、申告書ベースでしっかり計算してもらう(顧問税理士との契約上、月次で税金計算をしてもらえるかどうかという問題はありますが)
  • 自社の経理で簡便的に税引前当期純利益に実行税率を乗じて概算する
  • 自社の経理で申告書ベースで法人税等を概算する

実行税率を使う方法は、あくまでも簡便法なので、例えば自社の法人税別表4を見たときに加減算調整項目がたくさんあり、その調整額も大きな会社様の場合、実行税率により概算した法人税等の精度が低いものになってしまいます。

逆に、自社の法人税別表4を見たときに加減算調整項目がほとんどなく、その調整額も小さな会社様の場合、実行税率による方法でも概算レベルであれば問題ないかと思います。

個人的には、月次では実行税率による方法により、四半期や半期には申告書ベースで法人税等を概算する方法の組み合わせで十分かと思います。

ちなみに、自社で申告書ベースで法人税等を概算ってかなり難易度高くない?って思われる方も多いかと思いますが、決してそんなことはありません。私自身そういった自社での税金計算自計化支援をさせていただいておりますが、各会社様別に税金計算上重要性の高い別表にフォーカスして強弱をつければ自社で法人税等の概算も決して不可能ではありません。

 

 

経理部の皆さん、決算業務前倒しやってますか?

特に非上場の中小企業における決算業務を早期化するには、この「決算業務の前倒し」が効果を発揮します。

決算業務は期末決算時にやるものという固定概念を取り外し、できろことは期中から前倒しで実施していくのが「決算業務の前倒し」です。

まずは決算業務の棚卸

決算業務を前倒しするに当たってまず初めにやらないといけないのが、現状の決算業務の棚卸です。

これは先に記事でも紹介した決算スケジュール表の作成により行うことができます(経理部の皆さん、決算スケジュール表作ってますか?)。

決算スケジュール表を作ることで、だれが、いつ、どんな決算業務を行っているのかできるだけ細分化して棚卸する(細分化する)のが重要です。

次に決算業務の前倒し

上記決算スケジュール表ができたら、どの決算業務が期中に前倒しできるかを検討していきます。

例えばいくつか前倒しの例を以下にご紹介します。

前倒しする決算業務 前倒しのポイント
消費税コードのチェック 決算時に1年分の取引の消費税コードチェックを行うのは手間と時間を要するため、毎月の月次又は四半期に消費税コードチェックを行い決算時には決算整理仕訳の消費税コードチェックで済むようにする。
取得資産の登録と減価償却費の計上 期中に取得した固定資産の固定資産台帳への登録と減価償却費の計上を決算時にまとめてやっている会社は、月次でそれらを行うことで決算時の手間と時間が短縮される。
現金主義から発生主義への修正 期中は簡便的に入金時に売上計上しているもの(太陽光売電収入、自販機収入、廃材売却収入などの雑収入系に多い)は決算時に発生主義に修正する必要があるが、これを期中から発生主義で仕訳することで、決算時に現金主義から発生主義へ修正するのを忘れるといったリスクを軽減でき、手間もなくなる。
棚卸資産の実地棚卸 実地棚卸自体は期末に必ずやらないといけない業務ですので前倒しなんてできないと思われる方がいるかと思いますが、ここで私が言う前倒しとは、期中に最低1回(例えば半期に1回)実地棚卸をやっておくことで、期末実地棚卸がスムーズに行えるということです。どうしても年に1度の業務は、去年どんなふうにやってたんだっけ?という復習から始まり時間がかかりますので。

他にも前倒しの例は私自身たくさん持っていますが、いずれにしてもいきなりたくさんの決算業務を前倒しすると、特にマンパワーの不足しがちな中小企業では期中業務が重くなりますので少しずつできる範囲で進めていくのがお勧めです。

決算業務前倒しの効果

決算業務を前倒ししても期中業務が重くなるのであまり意味ないんじゃない?と思われる方が多いかと思いますが、それは違います。

決算業務、すなわち、年に1度の業務としてしまうとどうしてもミスが多発する傾向にあります。決算業務を月次業務、四半期業務に落とし込めれば、こうしたミスも軽減できます。上場企業では四半期決算があるのでいいですが、非上場の中小企業でもぜひ決算業務の前倒しを実施してほしいと思います。