中小企業グループの配当実態と配当性向

上場企業グループであれば、①グループトップの持株会社の配当性向、②グループ子会社から持株会社への配当性向についての配当政策(考え方)をもっているのが普通ですが、非上場の中小企業グループではなかなかそうはいきません。

なお、配当性向とは、一般的には当期純利益に対して何割の配当を実施するのかという割合をいいます。

当期純利益 ✖ ○○%(配当性向)=配当金額

中小企業グループの配当実態は?

そもそも非上場の中小企業グループでは、①グループトップの持株会社からオーナー株主らへの配当がなく、②グループ子会社から持株会社への配当もないなんてことが多いのではないかと思います。

配当をしない理由についても各社さまざまでしょうが、私が個人的に思うのは、株主総会自体が行われていないというのが原因の1つであると思います。

法人税の裁判例や裁決等を読んでいると、納税者側の弱みとして、自身の主張を裏付ける証拠書類が乏しいことがあげられ、よく株主総会議事録がないとか株主総会が実施されていないといった記載も目にします。

中小企業グループの配当金額の決め方は?

非上場の中小企業グループでもきちんと株主総会を実施し、利益が出れば配当も行っているという会社もあるでしょうが、その配当金額の決め方、考え方はどうなっているでしょうか?

例えば、グループ子会社から持株会社への配当金額につき、どの会社も一律○○○円という決め方では、利益の出ていない子会社から不満が募ります。

配当本来の考え方からしても、やはり利益(配当財源)あっての配当なので、利益の何割を配当するという配当性向に関するグループ全体での方針を持っておくことが中小企業グループの配当にしても必要なのではないかと思っています。

とりわけ、持株会社のうち自身で主たる事業を持たず、子会社投資が本業の純粋持株会社では、子会社からの配当金が売上の主たる構成要素になってきますので、子会社からいくら配当金をもらうかは、非常に重要な課題となるでしょう。

配当性向の決め方については、1つの方法として、同業の上場企業のIR情報などから配当性向の情報を収集して参考とする方法が考えられますが、あくまでも参考にとどめ、自社の内部留保とのバランスを考えて最終的には自社で決定していくべきでしょう。

 

中小企業グループの経理体制構築

中小企業に限りませんが、親会社と子会社といったように、複数の企業グループで経営・ビジネスを行っている企業はたくさんあります。

そんな企業グループにおける経理体制は大きく以下3パターンに分かれると思います。

パターン1 親会社が各子会社の経理業務を全て代行している
パターン2 各子会社にはそれぞれ経理部門があり、経理業務は子会社で完結できる
パターン3 親会社が各子会社の経理業務の一部を代行している

中小企業グループ経理体制構築の留意点

中小企業グループで上記パターン2の経理体制の場合は留意しないといけないことがあります。

中小企業の場合、なかなか経理の人材採用まで十分に行われていないケースが多く、各子会社で経理部門があるといっても経理担当者1名なんてことは普通にある状況でしょう。

各子会社に経理担当者1名といった場合、親会社主体で定期的に各子会社の経理担当者を集めて勉強会や会議を実施する等しないと、各子会社の会計方針がバラバラになる可能性が高いです。

各子会社の会計方針がバラバラだと、同業種の各子会社間であっても業績比較が十分に行えません。結果的にグループ経営が十分になされない可能性があります。

もちろん、各子会社もそれぞれ別会社なので、細部まで全部同じ会計方針である必要はありませんが、同業種の子会社なら大枠(個別注記表に記載の会計方針レベル)は揃え、使用する勘定科目などを統一しておいた方がよいでしょう。そのためにも、グループ全社の経理担当者が集まっての打ち合わせが必要になってきます。

おわりに

パターン2が問題あるならパターン1に変えればいいんじゃない?って思う方もいるかもしれませんが、親会社で子会社の経理業務まで全て行う体制を構築するには急にはできません。

親会社での経理担当者の人材確保、子会社の経理担当者の本社への転籍、システムの見直し、帳簿書類の移管等やらなければならないことがたくさんありますので、段階的に親会社へ経理業務を移管することになるでしょう。

また、パターン1とパターン2の折衷タイプとしてパターン3もあり得ますが、パターン3の場合はどこまで親会社が代行するのかしっかりと線引しておく必要があり、子会社も一部経理業務を行うことから親会社との連携が重要になってきます。

いずれにしても単なる事務処理屋としての経理ではなく、しっかりとグループ内でコミュニケーションをとっていかないと強い経理にはなりません。