印紙税課税物件表「〇〇〇の譲渡に関する契約書」

印紙税の課税物件表に「〇〇〇の譲渡に関する契約書」と記載されているものがあります。

例えば、第1号の1文書「不動産の譲渡に関する契約書」。

課税物件表をそのまま読めば、売買契約書のことをイメージすると思うのですが、実は売買契約書以外も含まれます。

その根拠は、印紙税法基本通達第13条に以下の通り定められています(青太字は私が加筆)。

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(譲渡に関する契約書の意義)

第13条 課税物件表の第1号及び第15号に規定する「譲渡に関する契約書」とは、権利又は財産等をその同一性を保持させつつ他人に移転させることを内容とする契約書をいい、売買契約書、交換契約書、贈与契約書、代物弁済契約書及び法人等に対する現物出資契約書等がこれに該当する

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ちなみに消費税法の資産の譲渡の意義についても、消費税法基本通達5-2-1に似たようなことが書かれてます(青太字は私が加筆)。

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(資産の譲渡の意義)

5-2-1 法第2条第1項第8号《資産の譲渡等の意義》に規定する「資産の譲渡」とは、資産につきその同一性を保持しつつ、他人に移転させることをいう。

(注) 資産の交換は、資産の譲渡に該当する。

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消費税法の通達レベルまで精通した人が印紙税の課税物件表を見る前提ならまだしも、課税物件表だけ見て交換契約や贈与契約、代物弁済契約、現物出資契約等がスラスラと出てくる人はいないのでは?と思います。

こういうのは課税物件表に具体的に1つ1つ列記してしまうときりがなく、抜け漏れがでてしまうので、「譲渡契約書」と書かずに「譲渡に関する契約書」と書き、通達で概念をフォローしているのかなと思いますが、個人的には通達でなく具体的に1つ1つ課税物件表に列記してほしいなと思います。

仮契約書も印紙税法の世界では契約書に

仮契約書自体、私自身これまであまり実務で見たことないですが、後日本契約を締結することにしている場合の仮契約書の事例が印紙税の事例集などでよく目にしますし、国税庁の質疑応答事例集にも載っています↓

国税庁質疑応答事例集 仮契約書・仮文書等の取扱い

上記質疑応答事例の回答にもあるように、根拠は印紙税法基本通達第58条というわけです↓

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(後日、正式文書を作成することとなる場合の仮文書)

第58条 後日、正式文書を作成することとなる場合において、一時的に作成する仮文書であっても、当該文書が課税事項を証明する目的で作成するものであるときは、課税文書に該当する。

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この印紙税法基本通達第58条について、印紙税法基本通達逐条解説を読むと、「・・・それが課税事項を証明する目的で作成されたものであれば、証明力の強弱を問わず、すべて課税対象となります。」と解説されてます。

普通の感覚だと後日本契約結ぶんだから仮契約書が本契約書と同じく取り扱われるのは違和感を覚えるところですが、印紙税法の世界ではそうはいかないわけです。

そして印紙税法の怖いところはこういった重要な部分がさらりと通達にだけのってたりするものが多いです。

もともと条文数は少ないし、契約書の意義について規定されてる通則5にもカッコ書きで予約は含む旨の記載はあれど、仮契約も含むなんて書いてないですからね。

以前、印紙税のセミナーを受講した際に講師が、印紙税は条文が少なく、判例もほとんどなく、通達を知らないと実務はできないとおっしゃっていましたが、勉強すればするほどその意味がわかってきます。

法人税法みたいに条文が多いのもそれはそれで大変ですが、条文数が少なくて実務は専ら通達頼みというのもそれはそれで大変ですね。