法人税

申告調整できる貸方原価差額(法人税法基本通達5-3-9)って知ってますか?

はじめに

法人税について少しマニアックな記事になります。

申告調整できる貸方原価差額(法人税法基本通達5-3-9)について知ってる、または、実際につかってるという方はいるでしょうか。

実際私自身も税理士試験の受験生時代はこの通達の存在をしりませんでした。

法人税法基本通達5-3-9

肝心の通達自体はこちらです。

(申告調整できる貸方原価差額)
5-3-9 法人が棚卸資産につき算定した取得価額が令第32条第1項《棚卸資産の取得価額》に規定する取得価額を超える場合のその差額のうち、法又は措置法の規定により損金の額に算入されないため確定申告に際して自己否認した金額から成る部分の金額については、当該申告に係る申告書においてその調整を行うことができるものとする。

簡単に言えば、製造原価に計上した賞与引当金繰入額や退職給付引当金繰入額等を別表4で全額加算した場合において、原価計算の結果として期末在庫の取得金額に当該自己否認した(加算した)賞与引当金繰入額や退職給付引当金繰入額の一部が配賦されているとその分は所得計算上加算しすぎているので減算できるということです。

通達にも「できる」と書いてあるので、別に減算しなくてもよいということにはなります。

この通達使ってる会社ってあるの?

ただ実務上この通達を根拠に減算している法人ってあるんだろうか。。。

原価計算の仕組みが複雑であればあるほど、賞与引当金繰入額や退職給付引当金繰入額など別表4で自己否認(加算)した金額のうちいくらが期末在庫に配賦されたか抽出するのが難しいし、手間だと思います。

あとは仮に抽出して減算しても、翌期加算しての繰り返しになるのであまりメリットがあるとも思えない。

加えて、棚卸資産の評価損を計上している場合なんかを考えたら集計が手間かかりすぎる。

なので、少なくとも私自身の経験上この通達を使っているのを見たことないですが、昔アメブロの読社の方からこのコメントいただき、「この通達使ってます!」っていう情報いただきましたので実際に適用しているところはあるようです。

おわりに

実務でやるやらないは置いておいて、個人的にはこういう細かいマニアックな取り扱い大好きです(笑)

税理士試験の法人税法計算問題あたりで、数字が与えられている前提なら出題されても面白いかなと勝手に思います。

 

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