法人税

グループ経営における経営指導料のあり方①平10.2.20裁決を踏まえて

以前当HPで経営指導料に関する裁判例をベースに記事をアップしました↓

グループ経営における経営指導料のあり方① 平12.2.3東京地裁を踏まえて

グループ経営における経営指導料のあり方② 平12.2.3東京地裁を踏まえて

グループ経営における経営指導料のあり方③ 平12.2.3東京地裁を踏まえて

上記記事には結構アクセスがあるので、経営指導料に関してはやはり皆さん関心が高いのかなと感じています。

今回は、経営指導料の別の事例『平10.2.20裁決 TAINSコードF0-2-002』について書いていこうと思います。

どんな場合に寄付金認定されやすいか

上記経営指導料のの記事でも同じことを書きましたが、今一度おさらいの意味も込めて、どのような場合に税務調査で経営指導料が寄付金認定されやすいのかについて、私の思うケースを以下に示します。

①そもそも親会社から子会社に対する経営指導等の実態がない、もしくは、あいまいで客観的なエビデンスをもって第三者に経営指導等の実態の主張ができないケース

②親会社から子会社への経営指導等の実態はあるが、客観的エビデンス(大前提として経営指導に関する契約書など)がないケース

③親会社から子会社への経営指導等の実態はあり、客観的エビデンス(大前提として経営指導に関する契約書)もあるが、その金額の算定根拠が不明であり、実費を超えていると判断されるケース

①②は、そもそも役務提供の実態があるの?といった問題で、もし税務調査において、納税者側が役務提供を受けていることを調査官に示せず、役務提供を受けている実態がないと判断されてしまうと、支払っている経営指導料の全額が寄付金認定されるリスクがあります。

③は、役務提供の実態はあるにせよ、その対価として支払っている経営指導料の金額の算定根拠が不明であり、親会社で経営指導業務に要するコスト(実費)を上回る部分が過大として寄付金認定されるリスクがあるというものです。先に記事でご紹介した平12.2.3東京地裁の事例でも、納税者が勝ってはいますが、税務署側は親会社側の役務提供コスト(実費)を上回る部分を寄付金認定してきています。

裁決から学ぶ

今回の事例『平10.2.20裁決 TAINSコードF0-2-002』でも、役務提供の実態の有無と経営指導料の金額の算定方法がやはり争われています。

役務提供の実態の有無に関しては、どうしても事実認定の要素が強く、裁決本文を読んだだけでは全容は把握できかねますが、それでも裁決本文を読むことで、注意しないといけないポイントは拾えますので次回以降の記事で書いていこうと思います、

また、経営指導料の金額の算定方法についても詳細は次回以降の記事で書きますが、少し先に紹介すると、今回の事例では税務署側は、以下の算式で経営指導料の適正額を算定しています(B社が親会社、請求人が寄付金課税された子会社です)。

経営指導料の適正額=原価の額(A)+利益相当額(B)

A 原価の額は、B社が請求人に対して役務の提供をした事務管理業務及び従業員募集業務のために要した費用の額である。

B 利益相当額は、B社が請求人に対して提供する役務の内容が、事業所に対してサービスを提供する事業の範ちゆうと認められることから、U税務署管内において、類似法人411社を機械的に抽出し、その売上金額の総額と売上総利益金額の総額を基に売上総利益率(売上総利益金額を売上金額で除した割合)の平均値(以下「平均売上総利益率」という。)57パーセントを基に算定したもので、この利益相当額の算定方法は合理的である。平均売上総利益率は、次の算式により計算した。

(算式)原価の額×0.57÷(1-0.57)=利益相当額

出典:『平10.2.20裁決 TAINSコードF0-2-002』

原価の額だけでなく利益相当額も加味してくれている点は納税者にとってプラス要素ですが、その利益相当額の算出方法が、同じ税務署管内の類似法人411社の売上総利益率ベースというのはどうなんだろうと個人的には感じてしまいました。

そもそも、納税者が同じ税務署管内の類似法人411社の売上総利益率データを入手することは不可能ですからね。

ということで、税務署側の経営指導料の適正額は納税者側では再現できないだろうという問題はありますが、また次回以降詳しく見ていきます。

 

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