ゴールをしっかり見据える

これまで、経理業務に関する記事を何本もアップしていますが、今回は経理業務の自計化について触れたいと思います。

経理業務の自計化とは

一言で経理業務の自計化といってもそのレベル(段階)はまちまちです。

例えば、税理士事務所に丸投げの状態からの脱却としてまずは記帳を自社で行うようにすることも自計化といえるでしょう。

また、既に自社で記帳業務を行っており、決算業務(決算整理・税務申告・決算書の作成)は税理士事務所に任せていたが、今後は決算業務も自社で行うようにするというのも自計化といえるでしょう。

自計化するには当然ですが、会計システムへの投資や経理人員の確保というコストが多少なりともかかってきますが、しっかり自計化できれば、これまで外部にお願いしていた費用がうきますし、タイムリーに数値情報を把握できるというメリットがあります。

ゴールをしっかり見据える

今回は自計化することのメリット・デメリットに触れたいのではなく、自計化を成功させるために何がポイントとなるかという部分について触れたいと思います。

私が思う自計化成功のポイントは「ゴールをしっかり見据える」ということです。

例えば、既に自社で記帳業務を行っており、決算業務(決算整理・税務申告・決算書の作成)は税理士事務所に任せていたが、今後は決算業務も自社で行うようにするという自計化目標を掲げた場合、自社の決算書・勘定科目内訳書・税務申告書をしっかり読み込むことが重要です。

書店に行けば、決算書の作り方や法人税の申告書の作り方について書かれた本はたくさん売っていますが、それを読んで勉強したり、決算書作成セミナーなどに参加しさえすれば、自計化がうまくいくかといえばそれはNOでしょう。

本やセミナーでは、典型的な作成方法がいくつか書かれ、紹介されてはいますが、当然ですがそれがそのまま自社の決算書・勘定科目内訳書・税務申告書の作成に全て活かせるかというとそうではありません。

本やセミナーを活用した自己研鑽+ゴールの認識(自社の決算書・勘定科目内訳書・税務申告書をしっかり読み込むこと)が必要です。「自社の」という部分が特に重要です。

ゴールを見据える具体例

➀ 今の時代、どんな会計ソフトでも仕訳さえ入っていれば、自動で決算書(B/S、P/L)の出力が可能なので、決算業務の自計化なんて楽勝じゃんと思っても、各勘定科目の内訳を管理していないと勘定科目内訳書の作成にかなりの時間を割くことになってしまいます。

そうならないように、月次の段階から勘定科目に補助科目を設けて内訳管理をしようとなりますが、事前に決算書だけでなく勘定科目内訳書の作成が必要ということ、自社の勘定科目内訳書ではどの科目のボリュームが多いか等を確認しておかないといけません。

② 税務申告を自計化する場合でも、まずは自社の税務申告書を読込み、各別表に入力されている金額の意味と内容を確認し、それをどのように会計システムから抽出したらよいのか、抽出したデータを加工したらいいのかを検討する必要があります。

例えば、交際費から除かれる少額飲食費については、交際費の科目に補助科目(少額飲食)を設定して日々の仕訳入力の際に区分しておかないと、期末になって一から集計するのは大変な作業になります。

おわりに

以上、いくつか具体例を挙げてみてきましたが、要は、しっかりゴールを認識し、いかに効率よくゴールにたどり着けるかを前倒しでやっておかないと自経化は成功しないということです。

 

 

 

匿名組合契約と保険契約

法人税の節税手法は数多ありますが、比較的金額規模が大きなもの、かつ、組織再編等の特殊な手法を使わないとなるとやはり上位に来るのが匿名組合契約と保険契約でしょう。

今回はこれら2つについて法人税と株価評価の視点で簡単に見ていこうと思います。

法人税の節税効果と注意点

まず、法人税の節税効果ですが、匿名組合契約も保険契約もあくまでも課税の繰延効果になります。

要は匿名組合契約の場合は契約期間の初期に出資金額を上限に損出しが先行し、契約期間の後半になって益に転じてくる。

保険契約も契約期間中は支払保険料が損金算入され(損金算入割合は保険による)、解約時等に解約返戻金等が返ってくることで益がでる。

どうしても当期の法人税を節税したいという場面では、どちらも節税効果は高いですが、いずれ益になって戻ってくるので、その際にはまた新しい匿名組合契約、保険契約を結ばないと課税が起きるという具合になってきてしまいます。

とりわけ匿名組合契約の方が保険契約よりも金額感が大きい分、契約初期の節税効果も高いのですが、外貨建ての場合は為替リスク等もあり、最終的に益になって戻ってくるとはいえ、元本割れのリスクもありますのでやる際には注意が必要です。

会計処理や税務申告にも注意が必要です。保険については支払保険料の全額が損金か1/2が損金か等の会計仕訳を誤らないように、匿名組合契約については、法人税の別表9(2)を作成する必要があります。

株価評価における注意点

まず、類似業種比準価額の計算上の留意点ですが、非経常的な利益との絡みで注意が必要です。

匿名組合契約に係る損益は、毎期継続的に発生するものですので、「経常的」と判断され、非経常的な利益の集計上は考慮しないことになります。

一方で、保険解約差益(解約返戻金等-保険積立金)は、臨時偶発的で毎期継続的に発生するものではないので、「非経常的」と判断され、非経常的な利益の集計上考慮する必要があります。

次に、純資産価額の計算上の留意点ですが、どちらも課税時期における時価評価資料を入手する必要があります。

匿名組合契約については、リース会社に問い合わせて、課税時期における出資持分の評価額資料を取り寄せます。

保険契約については、保険会社に問い合わせて、課税時期における解約返戻金等の資料を取り寄せます。全損タイプの保険でBSに資産計上されていない保険でも解約返戻金等がある保険もありますのでもれなく資料回収する必要がありあます。

おわりに

匿名組合契約も保険契約もやるやらないの判断(意思決定)が最重要です。法人税の節税だけ考えて株価評価上の影響まで気が回らないということが無いように事前に契約後の効果を様々な角度から検討する必要があると思います。

そして、やる際には事後処理である会計処理・税務処理にも細心の注意が必要です。会計処理・税務処理を間違えて当初予定していた効果が得られないなんてことが無いようにしないといけません。

なお、大前提として、行き過ぎた節税のためだけにこれら匿名組合契約と保険が利用されることが無いようにという視点も忘れてはいけないと思います。