印紙税

印紙の消印は印鑑でなければNG?

一般的によく知られていると思いますが、印紙税は、原則として、課税文書に印紙をはり付けて、消印することにより納付します。

根拠規定は、印紙税法8条です。

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(印紙による納付等)

第八条 課税文書の作成者は、次条から第十二条までの規定の適用を受ける場合を除き、当該課税文書に課されるべき印紙税に相当する金額の印紙(以下「相当印紙」という。)を、当該課税文書の作成の時までに、当該課税文書にはり付ける方法により、印紙税を納付しなければならない。

2 課税文書の作成者は、前項の規定により当該課税文書に印紙をはり付ける場合には、政令で定めるところにより、当該課税文書と印紙の彩紋とにかけ、判明に印紙を消さなければならない。

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8条1項に赤字で記載の通り、実は印紙をはり付けて消印をする方法以外に、納める方法があります。例えば、印紙税納付計器による納付の場合、専用の納付計器でスタンプみたいに印紙を押印することで納付できます(印紙税法第10条)。

納付計器による納付の場合、紙の印紙を社内にストックしておく必要がなくなるので、印紙の不正使用や横領などのリスク防止に役立つといわれています。収入印紙は現金化が容易にできますから、切手等と同じく未使用のまま保管しておくと少なからずこうしたリスクは管理してかないといけませんからね。

ちなみに印紙税納付計器による方法は税務署長に承認申請が必要なのでやる場合はまずこちらを読んでみてください(「印紙税納付計器による納付の特例」国税庁HPタックスアンサーより)。

少し横道にそれましたが、今回は印紙税納付計器の話ではなく、原則通り、はり付けて消印する場合、消印の印鑑は必ず契約当事者のものでなくてはならないのか?という論点です。

契約当事者の印鑑で、双方が押印して消印しないとダメっていう認識でいる方、以外にいるのではないでしょうか?

ちなみに、私は最初そう思ってましたし、契約当事者双方がそれぞれの印鑑で印紙の左右に消印しているのを見てからそれが正しいという認識になってしまってました。

これ答えはNOです。

根拠は印紙税法施行令第5条にあります。

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(印紙を消す方法)

第五条 課税文書の作成者は、法第八条第二項の規定により印紙を消す場合には、自己又はその代理人(法人の代表者を含む。)、使用人その他の従業者の印章又は署名で消さなければならない。

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つまり、従業員の印鑑でもいいし、印鑑でなくても署名でもいいことになってます。

消印する理由が、収入印紙の再使用防止なので必ずしも当事者でなくてもよく、また署名でもOKとされてます。

また、印紙税法基本通達第64条により、契約当事者全員の消印も不要で、作成者のうちどちらかが消印すればよいこととされてます。

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(共同作成の場合の印紙の消印方法)

第64条 2以上の者が共同して作成した課税文書にはり付けた印紙を法第8条《印紙による納付等》第2項の規定により消す場合には、作成者のうちの一の者が消すこととしても差し支えない。

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ただし、専門書籍の解説などでは、鉛筆で署名したもののように簡単に消し去ることのできるものは消印したことにはならないとされています。文房具売り場でよく見かける「消せるボールペン」は熱摩擦で消せてしまうので、こちらも個人的には署名とはいえないと思ってます。

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